古宮九時 Babel 全4巻

Unnamed memoryと同じ舞台で、数百年後の世界。Unnamed memoryまで読んでいるので、おそらくあの人たちが出てくるとは予想ができる。言語に対する考え方が面白い。英語は、聞き取ることは難しいけれど、単語の意味が分かれば結構理解できるので、構成はそれほど難しくないのだろう。YouTubeで字幕を出しながら見ると、単語の意味が分かっても何を言っているのかわからないことがあるので、日本語でも同じことだろうけど、個人の説明の上手下手があるのだろう。

1巻は普通に購入し、読んでいる間に残りの3冊がアンリミテッドで読めるようになったので、1箇月だけ登録して読むことにした。おそらく読み返すことはないし、こちらの方が買うよりも安い。ただ、このエントリを読んだ人が見に行ったときにアンリミテッドで読めるかどうかはわからない。

主人公はたくましい少女。今、異世界に行ってこれほどたくましく生きられる少女が日本にどれくらいいるだろうか。まあ、だからこそ主人公だと言える。異世界に飛ばされてストレスで亡くなる人は、きっと物語にはならない。

後日譚がない点が不満だ、との感想がアマゾンにあったので、「小説家になろう」のサイトで後日譚を少し読みつつある。1冊にするには分量が不足しているのかもしれないけど、要望が多ければ本になるのでは。本で読み始めたので、「小説家になろう」の方は見ていなかったのだけど、ほとんど本と同じ内容があるのだろうか。本になると公開しているほうは更新を止めてしまったり、過去の公開分を読めなくしてしまうことが多い印象だった。まあ、一人で全部できてしまう人もいるけれど、ある程度編集の目が入ったほうが文章としては読みやすくなるのではないかと思う。面白さが失われる、という人もいるかもしれないけど、そもそも読みづらかったら面白さも伝わりにくいと思うので、編集が入ることには賛成派だ。web版を読む場合、おそらく縦書きpdfに出力することになるのだろうけど、長音記号の表示が変なので少し気になる。楽しむ支障になるわけではないけれど、本で出ているのならそちらを読むかもしれない(値段にもよるけれど)。

日本人は長期間英語を学んできても身についていない、といわれがちだけど、例えば英語のニュースであればなんとなく意味が理解できても、ロシア語のニュースはほとんど理解できないことを考えると、多少なりとも身についているのではないかと思う。YouTubeでも英語字幕を付ければなんとなく意味は分かる(日本語字幕のほうが意味が分からないこともあるので、ものによっては英語字幕でみる)

 

このBabelという作品は、全4巻の中にいろいろなことを上手にまとめている作品だ。この感想を書いている時点で古宮九時さんの作品はUnnamed memoryBabelしか読んでいないけど、非常に満足している。登場人物がクロスオーバーする作品はあたりもあれば外れもありそうだけど(外れは忘れてしまったのかとっさに思い出せない)、いい感じでできていると思う。ほかの作品についても、読んでみたいと感じさせる作家だった。