小川一水 ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

 

 

一冊でまとまっていると言えばそうだし、続きが期待できるともいえる作品。続編は出ているので、続けて読むつもり。イメージを具現化して宇宙に挑めるのは楽しそう。SFではエネルギー問題というか、どうやってそのエネルギーを得ているかが気になる。理解しきれないことも多いのだけど、舞台上である技術があったとして、それを現在の科学ではできないのは、設備を作ることができないのか、そもそも技術がオーバーテクノロジーなのか。

とまあ、読み始めはそういうところにも気が向くのだけど、読み進めてしまえばあとはその技術がどのように生かされるかの方に興味は移って、物語を楽しむようになる。小川一水さんはそのあたりの塩梅がうまくて、気が付いたら物語に夢中になっていることが多い。まあ、天冥の標しか読んでいないのだけど。

世の中の多くは好きになったり好きになられたりする相手がいるので、きっと特別な能力が無くてもひかれあうものはあるのだろうな、とおもう。自分から誰かを好きになるときは、声が好みとか些細なことで好きになるのに、特別な何かがないから自分が好かれることはない、と考えてしまうのは不思議だ。誰かに好かれることがほとんどないからかもしれない。

舞台は一旦平等になった後、また男尊女卑の社会になったのか、ずっと男尊女卑の社会だったのかはわからない。昔ながらの男女観が残っていて、女性は生きづらそう。ある程度型にはまった生活のほうが行きやすい人も当然いるだろう。そういう社会が残ったということは、むしろ、古い考えのほうが行きやすい人の方が多かったのかもしれない。なんて書いてしまったけど、男に有利な社会では、女性の何割かがその社会を受け入れてしまうと成立してしまうだろうから、何割かの女性が行きづらい世界なのかも。

2巻も読んだ。もう数冊あるかもしれないけど、それほどは続かないような印象。クローンとか、同性でも子供ができるようなるとか、養子をもらうとか、次世代に続く場面が出て終わりそう。