佐島勤 魔法科高校の劣等生

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編(上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈4〉九校戦編(下) (電撃文庫)
ウェブで話題になっていたという作品。一冊一冊が厚いのは、その世界観を細かく説明しているからで、それを楽しめる人だったら楽しめる作品だ。舞台は、魔法を使える人たちが現れた世界。どんなものでも生まれもった能力があるように、この世界でも魔法を扱える力は生得的なものだ。主人公は魔法自体を使える力はあまり無いものの、それを補佐する器具や戦略を立てる能力がずば抜けている。そのほか、まだまだ設定はあるのだけれど、それは読んでのお楽しみ。
現実でも、たとえばジャイアントキリングではサッカーをする能力が無くても監督として力を発揮する青年がいるように、力が無くてもその競技で能力を発揮できることはある。それを、魔法の分野で描いていることがおもしろい。細かいところは、ん、と引っかかるときもあるけれど、それはもしかしたら読み手の力不足ではないかともおもう。そうおもえるくらいいろいろと考えられた世界観だ。
異性のきょうだいがいないので実際に恋人のようなきょうだいがいるのかどうかはわからないけれど(主人公には妹がいる)、この先二人がどういった関係になっていくのか興味深い。主人公が通う学校はある意味エリートぞろいなので、当たり前なのかもしれないけれど、周りにいるキャラクタも魅力的で、スピンアウトもどんどん考えられそう。書き溜めがあるのか、執筆速度が速いのかはわからないけれど、刊行速度もかなり速いのでこれからが楽しみな作品。