米澤穂信 二人の距離の概算

ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算

これは面白かった。途中でいろいろと考える余地はあるし、読み終えてから推理のもととなった部分を確認するのも楽しい。思い返せばあんなことがあったなと振り返ることは結構ありますが、人は自分が想像しているよりもたくさんの物事を観察しているし、記憶している。最近劣化が激しいのだけれど、有る程度なら自分の行動を映像として振り返ることができたし、物をなくしても思い出せることもありました(じゃあなくすなよ、と自分でもおもうけど、注意力が散漫であることと記憶することは全然別の機能なのでしょう)。とは言っても精度やらなんやらで個人差は大きいし、彼のように推理を組み立てることができる人もそうはいないでしょう。
今回は小山内さんの出番がとても少なかったのが少し残念です。しかし、ずっとなあなあで行くのかな、とおもっていたので、あの二人の関係に動きがあったのは少しおどろいた。学年が少しずつ進んでいるけれど、人間関係はあまり変わらないのかとなんとなく想像していましたが、卒業までにまだまだ変化があるのかもしれません。どこかのインタビューでは、まだわからない、とおっしゃっていた気もします。高校生のときは家のほうでストレスがあったせいか、あまり異性と話した記憶はありません。なので、こういう風に自然に(と言っても探り探りでは有るようだけれど)話すことができているのは少しうらやましい。まあ、それ以降は普通に話しているといえば話しているのですが。むしろ今の方がほとんど仕事に関係ない人とは話していないかも。
ラソン大会に参加しながら推理するというのは面白い。ほぼ安楽椅子探偵という新しい(かな)ジャンルをみたような気分です。とても面白かった。