*[読了]西尾維新 傾物語

傾物語 (講談社BOX)

傾物語 (講談社BOX)

この年末年始も化物語シリーズを読み返していたのですが、だんだん時系列がわからなくなります。最近、再読することはあまりないのですが、このシリーズとかスカイクロラとかは何度も読んでしまう。読み返すペースが速すぎると改めて感じるところも少ないのだろう、とはおもうのですが何度読んでも面白い本は貴重。
傾物語ですが、忍のキャラクタがどんどん変化するのが面白い。こんなキャラクタだったっけ、とおもっていたら登場人物がそれを指摘するのも面白い。アニメ化されて、次のアニメ化が決まっていて、それを背景にメタ文章を書いて、と面白くなる循環にはまっているのでは。実はあまりメタ視線の物語は好きではないのですが(だいぶ前に書いたような気もする)、この作品では楽しめます。お笑いの要素が大きい作品ではそこそこ楽しめるのかも。おおかみさんシリーズとか。
さて、傾物語ではタイムパラドクスやタイムリープの話が出てきます。過去に戻ったり未来にいけることの不思議さはともかく(そうでもないか)、その時点に移動できるということは、過去を保存している何かがあるのかな、なんて考えたりします。仕事などで使っているデータなどで考えてみると、上書きされていくと最新のデータしか残らないし、ある程度区切りの部分でバージョンを変えたとしても数パターン残るのみです。そして、ある時点の行動が以降の歴史に影響するとすれば、本当に無限のデータが世界には残されていることになります。理屈として、どんどん世界は分岐していて、こんな未来もあればあんな未来もあると考えることはできるにしても、そのデータが残されているのはどこなのだろう、とかおもいます。自分たちより上位の存在がある、といいたいわけでもないのですが。だいぶ前に読んだ本で、不思議な事象の研究家たちは、それらデータの保存場所をアカシックレコードと呼んでおり、予知能力を持つものはそれを覗けるものなのだと言っていた(はず)のですが、それだけのデータ量に接する(検索する)のに、人間程度のクロック数では時間がかかって仕方がないのでは。多分そういうと、だからこそ得られる情報が断片的なのだとか言うかもしれないけど。しかし、一生懸命予知したら3日後の深海とかだったらどっと疲れそう。
そういえば、アニメのコンプリードガイドも買ってしまった。あまり分冊にしてほしくないなあ。これこそ電子書籍化すればいいのに。いちいち出して読むのが面倒なので、たぶん再読することはないけど、とてもいい内容だった。ものを作る人がどんな視点で作っているのかがおもしろい。もしかしたら、そういった理由は後付けなのかもしれない(後日自身を分析したらそうだった、とか)けど、やっつけ仕事ではないことが伝わってくる。ときどき作画が崩壊しているアニメがあるみたいです。この前のお節の騒動ではないけれど、きちんと仕事をするつもりでもどうしても無理な場合があるとはおもう。でも、それを許容してしまったら他のプロを貶めることになるのではないでしょうか。なんでもかんでも「プロだったら」と言うつもりはないけれど、できることとできないことを見極めるのがきちんとした仕事だとおもう。まあ、やっつけ仕事で期間内に納めることも技術のうちかもしれないけれど、そういった仕事は好きではありません。本屋さんの新刊点数も減少傾向にあるようですし、そろそろ粗製乱造から離れていくのでしょう。そういえば、近所の本屋さんが潰れてしまった。歩いて通える範囲から、本屋さんがなくなってしまったのは残念。