- 作者: 野島伸司
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/08/07
- メディア: 単行本
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主人公は親同士が仲がいい4家族の子供たち。子供たちは計画的に同じ学年に生まれ、当然のように仲良くなります。時に距離を置くこともあるけれど、とても仲がいい、相手のことを思いやることができる子供たちの物語。
ひとのことを好きになるとはどういうことなのだろう、と、この年になって考えるのもなんですが、ずっと一緒にいたいと思えるひとに出会えるだけでも幸せかもしれないし、万が一、ずっと一緒にいることができればもっと幸せだろうともおもう。体から惹かれるのか精神から惹かれるのか、それがどのような割合になっていくかは人それぞれだとおもうし、何が正解というのもないのでしょう。それでも、自分だったら何がいいのか、何だったら良かったのかを考えることに意味があるのではないでしょうか。
それなりの期間生きてきて、惹かれたひともいるけれど残念ながらひとり身で、たぶんこのまま死んでいくとおもうのですが、魅力的におもえるひとに出会えただけでも幸運かな、と今は考えることができます。反面、まだまだこの先の人生はあるだろうけど、思い出だけで生きていくのはしんどいなあ、ともおもいます。惹かれたひとは幸せに生きているみたいだし、それだけでもいいとしましょうか。
物語では性同一性障害の登場人物がいます。ジェンダー論はあまり深く考えたことはないのですが、心と体が一致していないのは辛いでしょう。好きなひとに好きになられる可能性が低いだけではなくて、常に違和があるというのは辛い。最近は椿姫菜さんとかはるな愛さんとかがTVに出ているので知識としてはなじみが深くなったかもしれませんが、やはりマイナな扱いであることに変わりはなく「珍しい」と受け止められているのが現状です。ずっと前に、藤本ひとみさんの作品で登場人物が「それはおかしなことではない」と言っていたことを思い出します。もっとそれがあたりまえになればいいのに、とおもいます。
タイトルから「初恋はそれが最後の恋だと思うものであり、最後の恋はそれが初恋だと思うものである」というような言葉が来るかと想像しましたがありませんでした。漠然としたイメージだけ拝借したのかもしれません。読み終わった感想としては、それでよかったのではないかとおもいます。おもしろい、と書くとちょっとちがうような気もしますが、おもしろく読めました。