- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/01/09
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 91回
- この商品を含むブログ (209件) を見る
とくに何もない人生だけど、精神的にでも満たされる何かがあっただろうか、とふと考える。ものを考えない人生だったからかもしれないけれど、ただ、だらだらとすごしてきた気がする。それはそれで、たいしたことがない人間でも生きていられる社会っていいなとおもう部分もあるのだけど(昔だったらすぐに死んでいたとおもう。基本、役立たずだし)、何かしら満たされるものがあればよかったかな。
チェスは将棋と比べると可能な手が少ないそうだけど、それでも名人と呼ばれる人たちの思考が優れていることに疑いようはない。あの小さな盤面に宇宙とか世界を感じられるひとってほんとうにすごい。これから先も、チェスや将棋は生き残るだろうけど、いつまで進歩するのだろうか。
冒頭にも書いたとおり、とても静けさを感じる小説だった。そして、それがとても心地よい。思い返すと、小川洋子さんの本はどれも静けさを感じるような気がする。どこか隠遁生活をしているような主人公の話ばかりを読んでいるからかもだけど。とても、おもしろく読めた。