清涼院流水 Perfect world 9、10巻

9巻は英語の復習として今まで学習した単語を羅列したり、これまでに出た単語はすでに登場済みと書いたり労力は必要だったかもしれませんがそれに見合うほどの面白さはありませんでした。途中で母親の記憶がなくなって、もう一度覚えなおすとき「それはないな」と思いました。何に対して「それはないな」と思ったかは書きませんが、たぶん著者がいっぱいいっぱいになったんだろうなと思います。英語の学習法としてはとてもいいと思うのですが、発音や単語の意味から辿るのも覚えきらないとやはりすぐに役には立ちにくいかもしれません。
10巻では案の定「それはないな」の点が突っ込まれていました。ふつうそうですよねーと思いつつ。今回の秘策は英語でメールをするということ。これは相手をしてくれる人がいるなら画期的かもしれません。メール大好きな人にとってはいいかも、と思いそうですが実際はメールが大好きな人はいちいち英語で考えていられないと思うのでそこそこメールを使う人にとっていい方法なのではないでしょうか。
物語としてはどんどん話が進んでいて、黒老婆に電話するところとか、何でそうしなければいけないのかわからなくなってしまいます。自分で見つけるところに意味があったんだっけ、とか。終板に向けていろいろと伏線を張っているというか、物語が収束するのかどうかが不安になってきていますが、どうでしょうか。神田特球とか、その父親とかあんなに思わせぶりな(だった)のにもしかしたら全くでないんじゃないかと思うのは心配のしすぎでしょうか。
何もかも詰め込もうとするから無理があるのであって、英語学習法を知るためとか、無理なく京都を知るための作品としては非常に優れていると思います。だからといって物語り自体がつまらなくなるとそのどちらも停滞してしまうのでがんばって欲しいところですが、あと2ヶ月でどうなるでしょうか。刀語ともども楽しみです。