矢崎在美 夏の日のぶたぶた

夏の日のぶたぶた (徳間デュアル文庫)

夏の日のぶたぶた (徳間デュアル文庫)

 喋るだけではなく普通のしっかりした一人の大人として存在する山崎ぶたぶた。どうして彼のような存在があるのか、という説明は全く無いのですが、そんな説明は必要なく、ぶたぶたはぶたぶたであるということで受け入れられてしまうのが不思議。非難しているのではなく、読者としても違和感無く受け入れられてしまうのが不思議です。
 今回は両親の不仲に悩む少年少女が主人公です。子供は大人の事情に振り回され、大人はそれを当たり前と考えてしまいます。もちろん子供の事情も考慮して行動する大人がほとんどだと思うのですが、それでもどうしようも無い場合もあります。デュアル文庫なのでそれほど生々しい描写はありませんが、子供が両親の不仲に悩むことに違いはありません。何とかそれを避けようとする子供もいれば、達観して諦めてしまっている子供もいます。そこでほんの少し手助けをするぶたぶた。普通の大人なら子供たちもこれほど素直に意見を受け入れたり、対話をすることが難しいと思います。その壁をあっさり越えてしまうぶたぶた。子供が読めば出会いたいと思う。大人が読んでも一度話してみたいと思う素敵なキャラクタです。クリスマスのぶたぶたは持っていますが(幻の一冊と呼ばれているみたい)、近いうちに文庫になるそうです。すでに持っているので購入することはありませんが、ぶたぶたシリーズが手に取りやすくなる事はとても嬉しいですね。