*[読了] 竹宮ゆゆこ とらドラ スピンオフ2！

とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)

　短編集。一番面白かったのは春田が主人公の「春になったら群馬に行こう！」でした。考えをすぐに発言してしまう、頭が悪いと言われている春田ですが、この素直さがとても良い。大人になると言って良いことと悪いことを自分で判断してしまい当たり障りのないことしか発言しなくなります。もちろん、円滑に人間関係を進めるためには致し方ないことですし、何でも思ったままを言えばいいというわけでもない。それでも、せめて若い頃は思ったままを言うのもいいかな、なんて思います。子供の頃こそ、そういったつまらないことで人間関係がぎくしゃくすると逃げ場がないだけに辛いかもしれませんが。大人はなんだかんだいっていざというときには逃げ道があることも多いし。
　春田はあまり物を考えていないかもしれませんが、目の前のひとのことを考えていた。対して、その考えられていたひとは自分のことしか考えていなかった。傷ついた彼の発言は、何一つ偽りがないだけに受け取る側も痛々しい。
　内容に触れないように書いていたらちょっと抽象的過ぎる描写になりました。面白かったです。本編もそろそろ終わりそうですし、楽しみに待とうと思います。