道尾秀介 向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏

 もうすぐ10歳になるミチオは登校しなかった友人のS君の家に連絡物を持っていく。そこでミチオがみたのは自殺したS君だった。学校に連絡し、S君の家に向かった刑事はそこに何も無かったと言う。しかし、調査の結果S君がそこで首をつっていたことが明らかとなった。S君の死体はどこへ?そして事件の真相は明らかになるのか?
 物語の冒頭はミチオが理不尽な迫害を受けていたり、本人がそのことを淡々と受け入れていることがとても悲しくて、もしかしたらどろどろとした救いの無い話なのかな、と思いながら読んでいました。途中からは訳が変わらないものの、彼のミスリードにどんどん騙されて(くそう)最後まで読み終えることができました。
 フェアとかアンフェアとか、もうそんな問題ではないような気がしてしまう作品でした。面白かったかと言うと面白いのですが、誰にでもすすめられる作品ではありません。帯には分類不能、説明不可、ネタバレ厳禁! 超絶・不条理ミステリとありましたが、分類も説明も出来ますね。だって言葉で書かれた物語だし。
 最後まで読み終わってから、あの人とかあの人は本当に○○だったのだろうか?と思ってしまいました。最後のオチについて話してしまうとネタばれなのでやめますが、これがありえることは冒頭から明らかにされていますが全く予想できませんでした。このルールではありなんだな、と読み終えてから納得します。
 帯の言葉はネタばれせずに説明不可だということかもしれません。正直に言うと、細かい点で判らなかったことがいくつかありました。それはミチオがミカのベッドに潜るシーンや、お父さんの正体とか。軽く読み返してみましたがやはり解りません。受け入れられる人とそうでない人を分ける作品かもしれません。それでも、以降の作品も読んでみようかな、と思える面白さでした。