久住四季 トリックスターズC part1、2

トリックスターズC〈PART1〉 (電撃文庫)

トリックスターズC〈PART1〉 (電撃文庫)

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

 学園祭でずいぶん引っ張るなあ、と思っていたらこれでとりあえずシリーズ終了みたいです。とはいっても次回作でも同じ世界での物語を描くようなのでそれも楽しみ。
 受賞作で主人公のイラストが描かれないことが物語の主要な部分を推測させてしまう結果となりましたが、今回はイラストが描かれることである部分が推測できてしまいます。ライトノベルにイラストは欠かせないもの、ともいいきれませんがイラストも作品の一部であり、創造を補助する役割でもあったほうがいいことも多い。その本来味方であるイラストが枷となるのは面白いといえば面白いし、意外な欠点でもあります。
 魔学というジャンルをこの小説で確立させていることは評価していいのではないかと思います。実際には世界でどのような位置にあるのかとか、本当に使える人が限定されているのかとか、細部は詰めていないものの、魔法でできることとできないことをはっきりとさせていることで推理する楽しみも出てきています。この世界でも推理を楽しみとする人がいて、作中でも登場します。最後に突拍子もない展開になることも楽しいときもありますが、理詰めで展開する話も面白い。終盤では主人公がいろいろと推理していて、ネタばれになるので書きませんがその展開も面白かった。しかし、主人公が特殊能力を持つ小説は数多くあっても、ここまでその能力を使わないのも珍しいのではないでしょうか。
 次回以降はどのような作品になるでしょうか。無理にミステリ仕立てにする必要もないかと思うので、魔学の歴史とかを描いてほしいと思います。