三体
それぞれ読んだ直後に感想を書いた。
1巻
少し前から中国人作家のSFを少しずつ見かけるようになり、
あらすじ等は他のサイトにもたくさん書いてあるのだろうから、
ケン・
続きが読みたければ英語版を見てはいかがか、とどこかにあった。
映像も作られているようだけど、
2巻
勢いをもって読まなければいけないなと痛感している。1巻は発売
3巻
読んだ。期待以上の面白さ。
2巻が最高との声が多いと2巻の感想で書いたけど、僕としては3
あとがきにあったけど、ファンブックを書いた人がいて、
What is Life 命とはなにか
正直特に目新しい話はなかったけれど、全体として思考がきれいに整理されているので、あまり遺伝子がどうとかDNAがどうとかに馴染みがない人にいいかもしれない。
ニック・レーンの話をすこし噛み砕いた感じで、これが面白かったらニック・レーンの本を読めば理解しやすいかもしれない。そうは言いつつ、ニック・レーンの話を理解できているかと言うとそれは怪しいけれど。
生き物とはなにか、と考えるとどうしてもウイルスは生き物ではないと判断されてしまう。しかし、細胞などに取り込まれ、遺伝されるようになってしまえば生き物の一部となる。では、感染している最中、つまり細胞の中で増えている段階ではどうなのか、というと、生き物の一部と言っていいのだろう。水とかタンパク質と同じ扱いでいいと思う。
コロナ禍で、女性の自殺が増えているという。女性の自殺が増えているのは、生きにくさが反映されているのだろう。人は、未来のことを考えて、その苦しみを過剰に評価しがちではある。また、生きる意味などを考えてしまうのも、人ぐらいなのだろう。生きる意味なんてものは余り考える必要はないと思う。若い頃は、一廉の人間になれるかも、なんて思ったこともないではないけれど、比較的早めにそういった考えはなくなった。むしろ、生きた痕跡をできるだけ残したくないとも思っている。その割に、本の感想を書いているのはなかなか矛盾していて、自分でも面白い。ほとんどこれを読む人はいないだろうし、はてなのサービスがなくなれば消えてしまうだろう、と高をくくっているのもある。生きていて、それほど楽しいことはなかったような気もする。でもまあ、つまらないと思うのも楽しいと思うのも、生きているからできることだ。この先辛いことしかない、と思うようになったら人は命をたってしまう。生きていたら楽しいことがあるよ、と言われても、死に囚われた人には届きにくいのかな。自分もどちらかと言うとそちらがわ(死にとらわれるほう)なので、本を読む趣味があってよかった。目が見えなくなったら、どうなってしまうのだろうと不安になることもある。こどものころは、利き手がなくなったらどうしよう、と反対側の手で箸を使えるように努力したりしたけれど、そちらの腕がなくなることは考えていなかった。起きていない不幸は、考えても仕方がないことだ、と考えるようにしている。仕事でも思い通りにならない事ばかりで、早くやめたいと思う毎日だけれど、それでもなんとか生きている。
この本には、生きていること、考えることができることがどれほどのメカニズムに支えられているのか、ということが書いてある。この先あまり楽しいことはないのだろうけど、できるだけ生きていよう、とおもう。願わくば、目や手足が機能しますように。
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[読了] 新しい人体の教科書
まだ流し読みしかしていないけれど、この本を一人で書いたのか、
こんなにもうまく作られているのだから、
まあ実際には人の形をした神様はいない。あまりにも人っぽすぎる。神が人のあり方について葛藤したり、悩んだりするとは思えない。ただ、そう願う人がいるのだろう。
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[[読了]佐藤究 ANK
- 作者:佐藤 究
- 発売日: 2017/08/23
- メディア: 単行本
ダヴィンチのプラチナ本だったのが読むきっかけ。あまり著者のことは知らなくて、各編集者のコメントからSFらしいということが分かったので、読もうと思った。最近SF作家は多いのだろうか、少ないのだろうか。本屋さんを回る感じでは、時代小説とか、ファンタジィとか、妖怪ものが多いような気がする。現代ものが一番多いのかな。近所の本屋さんでは、なろう小説の書籍化(だけではないかもしれないけど)されたラインナップが棚を占める割合が増えてきているけど、この先どうなるだろう。
本作はとても面白かったけど、ダヴィンチ編集部のコメントで期待値がだいぶ上がっていたので、その分感動は少なかったかもしれない。書評を見てから買う人もそれなりにたくさんいるのだろうとは思うけど、先に書評を見た後に読んで、書評を見ておいてよかったと思うことは少ない。それでもなぜ書評を見てから読むのか、と考えると、好みだけで本を選んでいると偏っていくからだとおもう。本はたくさんあるのだし、好きな本だけ選んでも構わないと思う一方、もっと広くいろんなことを知りたい欲求がある。そうはいっても広がりにも限界があるようで、興味がない本を読む時間はない。あまり面白くなかったな、と思うのは楽しくはないけれど嫌ではない。興味がないなと思って読んだ本が思いがけず面白い、ということもきっとあるのだろう。まだないけど。翻訳された本などは、正直苦手なのだけど、表紙買いをしたり、誰かの進めているものを読んだりしている。それでも苦手意識が治らない。もっとするする読めるようになりたいものだ。
話はとても面白かった。物語の舞台は比較的近未来で、10年後ぐらいだ。ただ、生活する環境などはあまり今と変わっていないように感じた。叙述トリックではないけど、年代が明確に記載されていなければ現代に即したフィクションだと思っていたかもしれない。現在に至るこの10年で変わったところと言えば、ネットワークが充実したことだろうか。地図や時刻表など検索しやすくはなったけど、生活自体は大きく変わっていないかもしれない。外出先が便利になろうとも、外出しなければあまり関係がないようだ。と、ここまで書いて、さらっと描かれている部分に進歩している点があったことに気が付いた。10年でそれくらいの変化はあるかもしれない。詳しくは書かない。根幹となるネタについては、面白い一方で、たぶんありえないだろうとおもうけど、SFとしては十分ありだ。8分20秒の話は要らなかったように思える。この本を見て、どの部分がどこまで本当か調べてみるのも楽しいだろうけど、強く人に勧めるほどではない。
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[読了]ニック・レーン 生命、エネルギー・進化
何かの書評で発売されたことを知り、少し遠い大きめの書店まで足を延ばして買いに行った。手に取ってみると意外と軽い。紙の質が違うのだろうか。もちろん内容には影響しないし、字が見づらいこともないのだけど、なんとなく不満。この紙の質感が好きではないのかもしれない。それはさておき、内容に触れていこう。まずは、進化の過程でブラックボックスがあるという話。真核生物は脂質二重膜があり、核が膜で仕切られ、リボソームでタンパクを合成し、ミトコンドリアがエネルギーを供給する。この仕組みが共通であることから、進化の大本になる細胞(になったもの)は一つであるかもしれない。ただ、それをたどってもいつ真核生物が誕生したのかはわからないし、再現することもできない。これはとても面白い話で、言われてみると、原初の地球の環境を模してアミノ酸ができたとか核酸ができたとかのニュースは聞くけれど、そこから細胞に至るまでの道筋を解説したものに出会ったことがない。この本を読んでいて思ったのは、自分にはある程度理にかなったことならあまり考えずに受け入れる傾向があるな、ということ。もう一歩踏み込んで考えると、前提条件があいまいであることも多い。ある仮説を聞いたとき、それ以外の可能性について、他の可能性があり得るのか、あるとしたらどんな可能性があるか考えるのは面白い。ただし、なんでもかんでも疑ってかかると疲れそうではある。
我々は炭素を主体とした化合物で構成されているのだけど、SFでは時折珪素を主体とした生命が登場する。周期表で言えば炭素の下に来るので、同じような電子の配置になりやすいと考えるからだ。構造が今現在の生き物に準じているのが不思議だけど、考えるけど動かない珪素系化合物(見た目は動かない石だ。カーズみたいなものか)では面白くないし(考えを伝達できれば面白いかもしれない)、メカニカルなな動きをする生命体では、意志を持った機械との差がわからないので、結局炭素系の生き物を参考に同じ仕組みで優劣を考えて、という形に落ち着くのだろう。珪素系生命体は、神経の伝導速度が光速に近くなるとか、皮膚にあたる部分が硬いとか、大きい体になれる(ゴーレムのイメージかな)という設定を見かけるけど、改めて考えると、どうやって動いているのか(筋肉にあたる部分はなんなのか)とか、光を透過するかもしれないけど受ける部分はあるのかなど、疑問は次々に出てくる。完全に物理法則が異なる世界は考えにくいし、創り出すとしても進化の過程を考え、どのような生き物になり、大きさは、環境は、と考えることが多すぎる。考えたとしても、描くことが多すぎて、読む側の負担が大きい。複雑に考えすぎて動けなくなるよりは、よくわからないが不思議要素により魔法が使える、とか、前提条件として考える方が読む方としてもありがたい。ただ、この本を読んでしまっては、生半可なSFを見てしまうと不満が出てくるかもしれない。ちょっと知識を得ると突っ込みたくなるのは格好いいことではないとわかってはいるものの、知ったかぶりは楽しい。誰に知ったかぶるわけではないけれど。初めは一つ一つ理解しながら読もうと思っていたけれど、あまりにも遅々として進まないので、まずは一通り目を通すことにした。今、ようやく一回目を読み終わったところ。この時点で思うのは、結局炭素ではなくほかの元素を主体とした生命体はあり得ないだろう、ということ。はっきりとそう書いてあったかどうかは定かではないけど、水素からの電子のやり取りから生まれる一連の過程を見ると、化合物の安定性から、珪素生命体が生まれるのは難しそうだ。ただ、そこからどのような形で進化するかは、まだ想像の余地があるようだ。しかし、結局のところあまり理解できていないのだけど、例えば恒星との距離や地殻の構成など、地球に近い環境であれば、同じような生物が生まれてもおかしくない、というか基本的にはこの形になるのだろうか。ガスで構成されているような星でも、生命が生まれるとは考えづらい。環境が氷点下であるとか、高熱下であるとかならどうだろうか。もともと冷たいとエネルギーの授受が難しそうだ。かといって、いつまでも熱い環境だと、その熱さに耐えられる膜ができるかどうかがポイントかもしれない。現在、2016年12月末だけど、おそらく内容の半分も理解できていないだろう。何回かは読むつもりなので、そのあとの感想も追加していく。
さて、2回目を読み終えた。本当に少しずつだったので、前に進んでは戻っての繰り返しだ。電子の移動など、ある程度そうだろうと思いつつ流していた部分を少し真面目に読んだ。理解は進んだと思うけど、ひとに説明できるかといわれるとまだ難しい。一つ一つの事象は説明できるかもしれないけど、全体像が理解しきれていない。教科書以外で何度も読み返すのは久しぶりだ。かなり手ごわいけど、なかなか面白い。とりあえず、今回の感想はここまでの感想としよう。次の本が出るまでにはもう少し時間がかかるだろう。前作を読み返すのもいいかもしれない。
最後に、内容に対する理解の浅さを露呈することになるかもしれないけど、疑問に思うことを挙げて終わりにしよう。まずは、共生に成功したのは何個の細胞なのか、ということだ。偶然共生することになったミトコンドリアが今の細胞の原型となっているようだ。おそらくその環境では、多くの細菌と多くのミトコンドリアがあったであろう。ものすごい確率でも、何個か共生した細胞があったのではないかと想像する。その場合、同じような進化をすると考えてよいのだろうか。共生する、死んでしまう、の繰り返しの中、生き残ったものが原型だ。それは一つなのか、いくつもあるのか。一つだと考えるのは難しい。そこまで優秀なものが一度でできるだろうか。それとも共生、失敗を繰り返す中、ベストなものがいつしかできたのだろうか。要するに、今気になっているのは、本当の先祖にあたる細胞は一つなのか、いくつもあるのかということだ。これがわかる時が来るのだろうか。その時まで生きているのだろうか。気になる。
次に、可能性について疑問が残る。著者は、かなりの道筋をこれしかないような説明で進めている。読む限りでは、破たんはないし、とてももっともらしいのだけど、どこまでが一本道なのだろう。アルカリ熱水孔でプロトンを利用するところまでなのか、呼吸鎖ができるまでなのか、細胞膜ができるところまでなのか、核膜ができるまでなのか。シトクロムCの構造ぐらいは、環境によって異なることもあるかもしれない。細胞膜を構成する化合物も、多少の幅はあるのかもしれない。それは、今存在する生き物と全く異なる生態系の存在を肯定するのだろうか。残念ながら、そこまで想像が至らない。ただ、炭素が生体の主な構成物質となることは避けられないのではないかと、一連の話を読んで感じた。
これは若干記憶が不鮮明なのだけど、確か熱水孔から離れるために、代謝を獲得したようなことが書いてあったとおもう。周りがすべて熱いままだったら、生命は生まれないのだろうか。熱い環境でも多少の温度差はあるだろうから、熱いなりに代謝をする生き物が出てくるのかもしれない。いま熱水孔の周りにいるバクテリアみたいなものだろうか。ときどき、地球と似た環境の星が見つかったとニュースでしているけれど、今の地球の環境に近いというだけで、それだけでは生命が存在するかもしれないと推定するには不十分ではないだろうか。優秀な人たちの集団なので、それぐらい(かつては熱かったけど、今は冷めているなど過程も類似しているなど)は含めているのかな。何億年もかかって試行錯誤されたことを、いくら条件がわかりつつあるからと言って手元で再現することは難しいだろう。
人間は、人間という生き物として最適化されているので、現在のままではどう頑張っても120歳程度までしか生きられないようだ。ファンタジィ小説などで、長寿の種は子供が少ないとの設定が多い。ただ単にバランスを考えて、長寿で子だくさんだとその種に支配されてしまうからそう設定しただけかもしれないけど、この本で説明していたように、繁殖力と寿命の関係がトレードオフならば、あながち間違った想像ではない。ドワーフのように体躯が小さい種族は子供が多いという話はあったかなかったか覚えていないけど、寿命は短めであったとおもう。周りの動物から観察される特徴を反映しているのかもしれないけど、まあまあ妥当な設定となっているのが面白い。
最近、科学系(ずいぶんざっくりだけど)の本を読むことが多い。一度では理解できないことも、別の本で補ったり、繰り返して読むことで少しずつ理解できていくのは楽しい。もっと頭が回っていたころにこの楽しさを知っていたら、多少は今よりも賢くなっていたかもしれない。まあ、最適ではないけど手遅れでもないと信じて、これからも少しずついろんなことを知りたい。
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[読了]CRISPR(クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見
CRISPR-CAS9については、発表の少しあとからノーベル賞候補との話題が出ていたので多少知っていたものの、現状どこまで進んでいるのかはあまり知らなかった。本作は、CRISPR-CAS9技術を開発したエマニュエル・シャルパンティエと、ジェニファー・ダウドナのうち、ダウドナが執筆したもので、発見に至る過程やその後の目覚ましい開発状況、この技術の社会的な立ち位置などについて触れられている。
CRISPR-CAS9はとてもシンプルで強力なツールである上に、コストがかからない点が普及を後押ししているとのことだ。倫理的な問題を議論するのは大切で、ダウドナがそういう姿勢であったことは本当に科学界にとって救いであっただろう。そうはいっても、水面下で活動する人も少なくないだろうし、発表から数年たった今、すでにデザインされた子供が生まれていてもおかしくはない。もし遺伝子操作で何か獲得できるなら、ほしいものはあるだろうか。見た目については、さほど気に入っているわけでもないけれど、ある程度長い年月付き合ってきたので、いまさら変えようとは思わない。記憶力や理解力、発想力がもしも向上するならしてみたいものだけど、それらはきっとバランスが重要であって、総合的に能力をぐんと高める手段は今のところないと思われる。遺伝子操作と言っても、万能ではない(はず)。いろんな部位を一気に変えるのは不確定要素が多すぎる。ただし、そういった倫理観を持たないひとが、能力を高めた(と期待する)子供を作る可能性は否めない。成果(とは言いたくないが)がわかるまでに時間が必要なので、その間に法関連を整えておく必要があるだろう。オフターゲット効果が見られた場合、どの程度個体として影響を受けるのかなど、理解できていない部分も多いので、もう少し学んでみようとおもう。なんとなくのイメージはできていると思うのだけど、他人に説明できるほど理解できているかというと怪しいものなので、もう少し基礎的な部分を学びなおしたい。
と、ここまで書いたのは本が発売されてすぐだった。無事ノーベル賞をとって、その後も活躍しているようだ。応用も進んでいるみたいなので、なにか参考になるものを読むかもしれない。
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[読了]三上修 電柱鳥類学
電線にスズメが止まっているのを見かけることは多い。よく見ると雀ではない鳥も多い気がする。住んでいるところは田舎なので、トビが固まって止まっている区域もある。あまり、多種が固まって止まっているところを見たことはない、などと思っていたら、電柱に止まっている鳥について研究している人がいて、簡単に本を書いてくれた。
電柱の話に始まり、止まっている鳥について簡単に説明がある。ある程度見ていたらわかることを、きちんと調査して書かれていると感じる。もっと踏み込んでもらっても良かった気もする。主となるのは鳥の種類と、巣の話だ。自然に割り込んでいるのは人間のほうかもしれないけれど、鳥は鳥でそれを利用することもあって、なかなかこれも自然の摂理なのかもしれない。著者も述べているけれど、いずれ電柱は失われるものであり、ほんのひととき見られる風景なので、今のうちに楽しむのもいいだろう。
職場もまた自然が多く、毎日鳥の声が聞こえる。夏であろうが、冬であろうが、朝は人が少ないからか、とても多くの種類の声が聞こえる。まあ、聴き分けることはできないので、本当に種類が多いかどうかは不明だ。ところが、少し周りの木が伐採されたので、静かになってしまった。いずれ戻ってくるのだろう、とは思うものの、こんなに静かなのかと驚く。はじめは、あまりに静かなので地震などが起きるのではないかと心配したくらい静かになった。一方、今まで見たことがなかった鳥を見かける様になった。雀かな、と思ったけど、調べてみたらアオジだった。結構近くまで寄ってくるので可愛らしい。1メートルぐらいまで近づいても逃げない。この周辺の鳥は比較的人を警戒しないのか、セキレイも近くまで寄っても逃げない時がある。人なんてスローモーションに見えているのかもしれない。