[読了]CRISPR(クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見

CRISPR-CAS9については、発表の少しあとからノーベル賞候補との話題が出ていたので多少知っていたものの、現状どこまで進んでいるのかはあまり知らなかった。本作は、CRISPR-CAS9技術を開発したエマニュエル・シャルパンティエと、ジェニファー・ダウドナのうち、ダウドナが執筆したもので、発見に至る過程やその後の目覚ましい開発状況、この技術の社会的な立ち位置などについて触れられている。
CRISPR-CAS9はとてもシンプルで強力なツールである上に、コストがかからない点が普及を後押ししているとのことだ。倫理的な問題を議論するのは大切で、ダウドナがそういう姿勢であったことは本当に科学界にとって救いであっただろう。そうはいっても、水面下で活動する人も少なくないだろうし、発表から数年たった今、すでにデザインされた子供が生まれていてもおかしくはない。もし遺伝子操作で何か獲得できるなら、ほしいものはあるだろうか。見た目については、さほど気に入っているわけでもないけれど、ある程度長い年月付き合ってきたので、いまさら変えようとは思わない。記憶力や理解力、発想力がもしも向上するならしてみたいものだけど、それらはきっとバランスが重要であって、総合的に能力をぐんと高める手段は今のところないと思われる。遺伝子操作と言っても、万能ではない(はず)。いろんな部位を一気に変えるのは不確定要素が多すぎる。ただし、そういった倫理観を持たないひとが、能力を高めた(と期待する)子供を作る可能性は否めない。成果(とは言いたくないが)がわかるまでに時間が必要なので、その間に法関連を整えておく必要があるだろう。オフターゲット効果が見られた場合、どの程度個体として影響を受けるのかなど、理解できていない部分も多いので、もう少し学んでみようとおもう。なんとなくのイメージはできていると思うのだけど、他人に説明できるほど理解できているかというと怪しいものなので、もう少し基礎的な部分を学びなおしたい。

と、ここまで書いたのは本が発売されてすぐだった。無事ノーベル賞をとって、その後も活躍しているようだ。応用も進んでいるみたいなので、なにか参考になるものを読むかもしれない。