[[読了]佐藤究 ANK

Ank: a mirroring ape

Ank: a mirroring ape

  • 作者:佐藤 究
  • 発売日: 2017/08/23
  • メディア: 単行本

ダヴィンチのプラチナ本だったのが読むきっかけ。あまり著者のことは知らなくて、各編集者のコメントからSFらしいということが分かったので、読もうと思った。最近SF作家は多いのだろうか、少ないのだろうか。本屋さんを回る感じでは、時代小説とか、ファンタジィとか、妖怪ものが多いような気がする。現代ものが一番多いのかな。近所の本屋さんでは、なろう小説の書籍化(だけではないかもしれないけど)されたラインナップが棚を占める割合が増えてきているけど、この先どうなるだろう。
本作はとても面白かったけど、ダヴィンチ編集部のコメントで期待値がだいぶ上がっていたので、その分感動は少なかったかもしれない。書評を見てから買う人もそれなりにたくさんいるのだろうとは思うけど、先に書評を見た後に読んで、書評を見ておいてよかったと思うことは少ない。それでもなぜ書評を見てから読むのか、と考えると、好みだけで本を選んでいると偏っていくからだとおもう。本はたくさんあるのだし、好きな本だけ選んでも構わないと思う一方、もっと広くいろんなことを知りたい欲求がある。そうはいっても広がりにも限界があるようで、興味がない本を読む時間はない。あまり面白くなかったな、と思うのは楽しくはないけれど嫌ではない。興味がないなと思って読んだ本が思いがけず面白い、ということもきっとあるのだろう。まだないけど。翻訳された本などは、正直苦手なのだけど、表紙買いをしたり、誰かの進めているものを読んだりしている。それでも苦手意識が治らない。もっとするする読めるようになりたいものだ。
話はとても面白かった。物語の舞台は比較的近未来で、10年後ぐらいだ。ただ、生活する環境などはあまり今と変わっていないように感じた。叙述トリックではないけど、年代が明確に記載されていなければ現代に即したフィクションだと思っていたかもしれない。現在に至るこの10年で変わったところと言えば、ネットワークが充実したことだろうか。地図や時刻表など検索しやすくはなったけど、生活自体は大きく変わっていないかもしれない。外出先が便利になろうとも、外出しなければあまり関係がないようだ。と、ここまで書いて、さらっと描かれている部分に進歩している点があったことに気が付いた。10年でそれくらいの変化はあるかもしれない。詳しくは書かない。根幹となるネタについては、面白い一方で、たぶんありえないだろうとおもうけど、SFとしては十分ありだ。8分20秒の話は要らなかったように思える。この本を見て、どの部分がどこまで本当か調べてみるのも楽しいだろうけど、強く人に勧めるほどではない。