What is Life 命とはなにか

 正直特に目新しい話はなかったけれど、全体として思考がきれいに整理されているので、あまり遺伝子がどうとかDNAがどうとかに馴染みがない人にいいかもしれない。

ニック・レーンの話をすこし噛み砕いた感じで、これが面白かったらニック・レーンの本を読めば理解しやすいかもしれない。そうは言いつつ、ニック・レーンの話を理解できているかと言うとそれは怪しいけれど。

生き物とはなにか、と考えるとどうしてもウイルスは生き物ではないと判断されてしまう。しかし、細胞などに取り込まれ、遺伝されるようになってしまえば生き物の一部となる。では、感染している最中、つまり細胞の中で増えている段階ではどうなのか、というと、生き物の一部と言っていいのだろう。水とかタンパク質と同じ扱いでいいと思う。

コロナ禍で、女性の自殺が増えているという。女性の自殺が増えているのは、生きにくさが反映されているのだろう。人は、未来のことを考えて、その苦しみを過剰に評価しがちではある。また、生きる意味などを考えてしまうのも、人ぐらいなのだろう。生きる意味なんてものは余り考える必要はないと思う。若い頃は、一廉の人間になれるかも、なんて思ったこともないではないけれど、比較的早めにそういった考えはなくなった。むしろ、生きた痕跡をできるだけ残したくないとも思っている。その割に、本の感想を書いているのはなかなか矛盾していて、自分でも面白い。ほとんどこれを読む人はいないだろうし、はてなのサービスがなくなれば消えてしまうだろう、と高をくくっているのもある。生きていて、それほど楽しいことはなかったような気もする。でもまあ、つまらないと思うのも楽しいと思うのも、生きているからできることだ。この先辛いことしかない、と思うようになったら人は命をたってしまう。生きていたら楽しいことがあるよ、と言われても、死に囚われた人には届きにくいのかな。自分もどちらかと言うとそちらがわ(死にとらわれるほう)なので、本を読む趣味があってよかった。目が見えなくなったら、どうなってしまうのだろうと不安になることもある。こどものころは、利き手がなくなったらどうしよう、と反対側の手で箸を使えるように努力したりしたけれど、そちらの腕がなくなることは考えていなかった。起きていない不幸は、考えても仕方がないことだ、と考えるようにしている。仕事でも思い通りにならない事ばかりで、早くやめたいと思う毎日だけれど、それでもなんとか生きている。

この本には、生きていること、考えることができることがどれほどのメカニズムに支えられているのか、ということが書いてある。この先あまり楽しいことはないのだろうけど、できるだけ生きていよう、とおもう。願わくば、目や手足が機能しますように。