マーサ・ウェルズ マーダーボットダイアリー

 

 

アマゾンのお勧めに上がってくるものの、なかなかフェアの対象にならないこともあって、後回しにしていた作品。何冊か購入すると10%ポイント還元の対象になっていたのでようやく購入。

期待値が上がりすぎていたのか、思っていたほどのインパクトはなかったけど、面白かった。強化人間として周りから見られているとき、男性型として見られているのか、女性型として見られているのかが気になる。あと、声の描写はなかったとおもう。どんな声なのだろう。肉声なのか、どこかに仕込んだマイクを通して話しているのか。

何かの実験で、ぬいぐるみが話したとき、幼い子供はそこに命があるようにふるまっていた。子供はそれが生きているかとかは考えていないだけかもしれないけど、どういうときに命を感じるのだろう、と考えた。掃除用ロボットが、同じところを何度も往復するのを見て、かわいそうと思う人もいるようだ。ロボットに命があると考えているわけではないだろうけど、ヒトとしての立場から見たとき、無駄な労働を繰り返しやらされているように感じているのかもしれない。

近年AIの発展が著しく、対話型のAIでも違和感はないくらいになってきた。ただ、あくまでもそのあたりの情報をもってきてそれっぽく話す(書く)ことができるていどで、意思を感じることはない。意志を感じることはない、と書いたけど、それは質問する側の、出力の要求の仕方に問題があって、意思があるようにふるまってほしい、と書けばそれっぽい反応が得られるような気がする。

少し話がそれるけど、仕事をしていると、やる気が感じられない、と上司ほかから言われることがある。しかし、客観的に見れば仕事をしているはずであり、やる気が感じられないから何なのだろう、とおもう。逆に、やっている感だけを示しているけれど何も仕事を進めていない人に対してもそれなりに辛辣な意見を言うので、やる気があれば良いわけでもないらしい。やる気を示すためだけにエネルギーを使うのはものすごく無駄な気がするのだけど、どうだろうか。この話にそれたのは、AIがホワイトカラーの仕事を奪う、との記事がまた出ていたからだ。やる気を見せなくても、とにかく結果を出せばいいのであれば、AIにある程度作業をさせて、ヒトがそれを確認し、次に回せばいい。AIにとってかわられるというよりは、仕事の一部を任せられるようになる、と言ったほうが近いのではないだろうか。トータルとしての人の仕事は減るだろうから、ある意味とってかわられるともいえるけど。

 

この作品の主人公は自分で考えることができるし、好き嫌いがある。動物の好き嫌いは、進化の過程で避けたほうが生存できたとか、近づいたほうが生存できたとの選別があったからで、機械には好き嫌いはないはずだ。だとすると、主人公の感覚のもととなる人格がいたのではないだろうか。人を監視していたら感覚が芽生えたというには、偏りが大きいように感じる。まあ、1例だけだから、偏っていてもおかしくはなく、物語になるにはそれくらいの偏りがなければいけないのかもしれない。