米澤穂信 秋期限定栗きんとん事件

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

犯人探しとかを主眼にしていないシリーズなのでその辺についてはあまり書きませんが、おもしろかったです。小鳩くんと小山内さん、ともに恋人らしき相手ができていました。それでも小鳩くんは笑ったままだし、小山内さんの身長は低いまま(大台に乗ったそうです)です。
 今回の、ある意味主人公といってもいい新聞部の少年は「自分はできる人間だ」と思い込んでいる、牙を持ちつつそれを隠そうとする二人とは逆の性質を持った少年です。別に高校生ぐらいのころはそれでもいいのではないかとおもうのですけど、真剣なだけにちょっとかわいそうかも。
 仕事場にも、直接は関係していないのですが「自分は仕事ができる」と思い込んでいる若者がいて、仕事をしているのだからこれくらいいいだろう、と(別の、もっと上の)先輩が注意しているにもかかわらず生活態度を改めません。でも、正直仕事が粗いし、している仕事もたいしたことがないのですが彼のように多少痛い目にあったほうがいいのかもしれないなあと少しおもいました。周りから見ていてもちょっと見苦しいというか、いつまであのスタイルなのだろうとおもうのですが、意外とそういう人がすごく上にもいるので出世には影響しないのかもしれません。まあ、一緒に仕事はしたくないタイプです。自身にも多少そういう傾向があるので自戒したいところ。
 物語では相変わらず小山内さんが甘いものをたくさん食べます。甘い物好きなので、うらやましい、とおもいつつ自分はそこいらのコンビニにあるものでも満足できてしまう安い性質なのであまり外で食べることはありません。これまで刊行された内容では共感できる部分もあったのですが、今回の作品を読んで若干現実味がなくなってしまった部分もあります。こんな高校生はたぶん、そんなには(もしくはまったく)いないだろうし、いたら嫌だなあともおもいます。それが作品のおもしろさを失わせているわけではありませんが。
 次回作で、高校を卒業して終わりかな、と予想していますがさてどうなるでしょうか。