宇宙はもつれでできている/鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。/カラスの教科書
- 宇宙はもつれでできている
宇宙は「もつれ」でできている 「量子論最大の難問」はどう解き明かされたか (ブルーバックス)
- 作者: ルイーザ・ギルダー,窪田恭子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/10/19
- メディア: 新書
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科学が進歩する歴史は面白い。誰であれ、自分で終了することはないことを知っていて、それでもなお、ぎりぎりまで解明しようとする姿勢が好きだ。偶然が解決することもあるし、まったく見当違いのことだってよくある話だ。失敗があるからこそ成功につながることもよくあるし、(本当はあっているはずなのに実験の手順ミスなどで)失敗したことで進歩が遅れることもあるだろう。当事者にとっては人生がかかっているので笑い事ではないのだけど、そういったことすべてを後から見てみるととても面白い。
この本は、量子力学が議論によって進歩する過程を、見てきたように描いている。本当にこういった会話があったかどうかはわからない。人の記憶はあいまいなものだけど、かなり優れた人たちなので、覚えていないとも言い難い。書簡のやり取りなどで、だいたいこういった会話であったのだろう、と推測している部分も多そうだ。物語としてみるので、会話の正確さはさほどの問題ではなく、面白いかどうか、話がきちんとつながっているかの方が気になる点だけど、その点は問題ない。アインシュタインをはじめ、そうそうたる面々が登場する。もちろん知らない人も多いけど、知っている名前が出てくるとちょっと興奮する。人物像が描かれることも多く、親しみを持ってしまう登場人物もいたし、そうでない人もいる。昔は、能力があって、それを示すことができれば多少生活態度に問題があってもスルーされていたのだなあ、と感じる。今でも、お金持ちとかが羽目を外すことがあるのかもしれないけど、比較的たたかれることが多く、才能の有無が分かりにくいので減ってきたのかもしれない。
新たな段階に進むため、これまでにない発想をしてきた人たちのことが描かれているのだけど、これからもそういうことはあるのだろうか。あるにはあるだろうけど、生きている間にどれくらい見ることができるだろうか。新しいことをどれくらい理解できるだろうか。この先脳は劣化する一方だけれど、いろいろと知りたいし、理解したい。
- 川上和人 鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。
- 作者: 川上和人
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/05/12
- メディア: Kindle版
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- 松原始 カラスの教科書
- 作者: 松原始
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/03/15
- メディア: 文庫
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時々車に轢かれているのを見るけど、あれはたぶん車側がよけるに違いないと高をくくってしまったのだろう。車側はおそらく、カラスがよけるに違いないと思ったのではないだろうか。カラスについては、生活範囲の周辺ではさほどうるさいわけでもないし、ごみの害もそんなにひどいことをされた経験はないので(ちょっと袋を破って散らかしていたぐらい)、特に嫌いではない。冬目景の漫画で登場していたことがあり、ペットにしたいくらいだった。ただ、生き物を飼うのはきっと不向きなので、法的に良くても買うことはなかったと思う。
生きていくための衣食住が確保できているのなら、こういった行動観察系の研究はとても面白いだろう。逆に言えば、この研究でお金を集めることは難しいのだろう。そういった人たちの活躍によって、いろんな動物の映像が見られたり、知識を得ることができる。お金持ちの人がいたら、ぜひ支援してほしいものだ。
自転車に乗ったときの散歩道で、川沿いの欄干にカラスがぎっしりと並んでいるところがある。ぎっしりと言っても、2-30メートルに40羽ぐらいかな。なかなかの景色だ。近づくと飛んでいくけれど、通過したら戻る。休憩しているのだろうか。それとも、そこには餌が十分あるのだろうか。明るい時間帯しか通らないけれど、数の多寡はあれど必ずいる。通過するたびに、何をしているのだろうと気になっていた。この本を読むときに、もしかしたら何か理由がわかるかもしれない、と少し期待があった。でも、よくわからないままだ。近くを通っても逃げない個体もいて、すれ違いざまによく観察すると、つぶらな目がかわいらしい。特に巣がなければ襲ってくることもないようなので、これからはもう少しゆっくり通過して、観察してもいいかもしれない。