菅野彰 海馬が耳から駆けてゆく 5巻

海馬が耳から駆けてゆく〈5〉

海馬が耳から駆けてゆく〈5〉

 菅野彰さんの爆笑エッセイ第五弾。これらのシリーズを読んで思うことは、菅野さんの周りには本当に楽しい人が集まっていて、素敵な(と言っていいのかな)人間関係だな、ということです。本当に一人の人間にこれほどのアクシデントと言いますか、出来事が起こるのだろうかと思ってしまうほどのイベント満載です。不健全な精神〜で意外と言っては失礼かもしれませんが、美しい姿を見せてくださった菅野さんですが、文章を読むとあの写真からは想像できないような行動を取っていらっしゃるのがとても面白い。あの顔でこぶしを咥えるのですか。秘められた能力ですね。秘めておいたほうが・・・。
 菅野さんは藪医者にあたる割合が多いようですが、横柄で、やたらと薬を出したり、患者本人がこれはいかがな物かと思うような量を出す医者はきっと無能だと思います。そもそも皮膚科は能力の低・・・やめておこうっと。もちろんアトピーを治したり(まあ、細かく言えば指導することでしょうが)出来るお医者様もいるので一概に纏めることはできません。
 今回のメインはなんと言っても友人である月夜野さんの40歳記念パーティでしょう。誕生日パーティに普通80人は集まりません。中には普通の方もいらっしゃるのでしょうが、個性的な友人に囲まれとても素敵なパーティをされた模様。どんな格好をしてもいいから、是非参加したいと思いました。ドレスコードのコンセプトが「この店・・・二度と来れねえ」というのもすごい。皆さん結構二度と着ないような服を持っていらっしゃるのですね。わざわざ買いに行かれた方もいたようです。きっとその服は次回使うつもりでもそのときには違う服を着るのではないかと登場人物のキャラクタから思いました。
 しかし、本人も覚えていないようなうっかり漏らした一言をここまで広げる菅野さんとその友人たちもすごいですが、嘘を言ってはいない程度の信頼関係はあると断言する月夜野さんもかなりのつわものです。祭のその後を語る友人たちそれぞれの言葉も個性的で良かったです。殆ど人間関係に広がりが無いので、歳の離れた友人がたくさんいることがとても羨ましいです。「この度はご愁傷様でブヒ」といわれたい。是非言ってもらいたい。言われる立場ではなく対象になりたいです。
 これで海馬〜をタイトルとした作品はとりあえず終了のようです。残念ですが、他のタイトルでエッセイを書き始めているようなのでそちらを楽しみにします。小説はいろいろと好みが分かれるかもしれませんが、菅野彰さんのエッセイは本当に面白いです。ぜひ、ぜひ読んでいただきたい作品なのです。