本好きの下克上

 

最終巻を前にして、ここまでの感想も少し書いておく。小説家になろう時代から追っていたわけではないけど、単行本が出たらすぐに読み始めたので、比較的読んでいる期間は長いほうだと思う。当初はここまで続くとも予想しておらず、最終的には駆け足で本を作ってしまうのかな、と考えていた。自分自身を振り返ると、本を読んでいたからと言って読んだ内容をすべて覚えているわけでもないので、こんなにしっかり覚えていられるものかと思いつつも、途中経過も面白かった。下剋上がどこまで行くのかも楽しみの一つだったけど、ここまで来るのだなあと、今になっては感慨深い。こんなに一つ一つ描かれるとは思っていなかった。

貴族社会ということで、(表向き)性的な要素は少ないので、子供にも読める内容になっているのも、広く受けいれられた理由の一つだろう。性的な要素がなくても十分面白いことがすごいことだ。年末に最終巻が出るだろうけど、しばらくはコミカライズやファンブックが刊行されるだろうし、スピンオフも描かれるかもしれない。作者は、丁寧に世界を作れることが分かったので、新作が出たとしても安心して読めそう。途中でほかの作品を書く人も多いなか、(知らないだけかもしれないけど)本好きの下克上のシリーズに集中して書いてくれたのは好印象だ。刊行ペースも一定だったこともよかった。

 

最終巻ではどうなるのか、どうまとめるのか予想はしているものの、そんなものは複数予想していればどれかが当たるものだし、やめておこう。少なくともそこまでは事故などに合わずに生きていたいと思える作品だった。少し気が早いけど、書いてくれてありがとう。とても楽しい時間を過ごせました。

花譜 不可解3(想)

とてもよかった。セットリストなどはナタリーとかの記事を見てもらえばいいので書かないけど、よかった点をメインに書いていく。

①歌がいい(当然と言えば当然)

②衣装がかわいい。ラインが光っているのが良い。

③背景がいい。エレベータなどは使いまわしができるのだろうけど、それにしても凝っている。星街すいせいの別名議(?)でもかなり凝っていたので、これからのハードルが高くなっていそう。

④ディスコパートがやや長い。まあ、休憩が必要だったのかも。

⑤とてもライブ感があったのだけど、前日の録音であったとしても気が付かないだろう。たとえ、カンザキイオリが涙声になったとしても。良し悪しを言っているのではなく、観客がいないバーチャルのライブだとどうしてもそう感じる。チャットを見ないようにしていた(というかフルスクリーンで見ていた)のだけど、チャットを見ていたらそういう違和感はなかったかもしれない。(追記)2回目に見たときチャットありでみたのだけど、チャットはほとんど意味をなさない言葉で、感嘆符に近い。見ながらそんな凝ったことは書けないのだろう。その瞬間を共有していると感じるためにはいいのかもしれない。でもまあ、文字が流れていたらそちらに気を取られるので、今後もライブ中のチャットはオフにすると思う。

⑥花譜の顔って少しずつ成長しているのかな。久々に長時間連続で見たけど、うっすらメイクしているような雰囲気もとても良い。輪郭もややシャープになっているように感じた。

⑦テレビ(大画面)でみたいのだけど、なぜか音声が小さくなってしまい、スピーカを大音量に設定しないとうまく聞けなかった。Z-anHPからしか聞けないのはちょっと残念。Chromeの画面を飛ばせなかったので、Chromecastのブラウザアプリからアクセスした。テレビが古いので実質720Pで十分で、離れてみる分には問題がない。

⑧通常DVDを買っても3-4回しか見なくて、中には1回しか見ていない作品もある。今回のライブは期間限定で見放題なので、頑張って(?)何回か見た。3-4回見るにしてもこんな短期間に見ることはない。でもまあ、買うのと同じぐらいの回数楽しめたので良かった。

⑨舞台でアバターが動いているのを見たいのか、と考えてみたけど、あまりそういう希望はない。無理に周りに人がいなくても構わなくて、一緒に手拍子したり声援を送ったりしたい欲求はないのかもしれない。これまでライブに行ったときは、一緒に歌えるのは気持ちよかった。音量が大きいので、自分の声も聞こえにくいくらいなのだけど、音を出しているのは自覚できるので一緒に歌っている気分になれる。声援は、送るときもあったけど、声が小さくと届かないので、あまり無理して大声を出すことはなかった。一体感を求めるのであれば、周りに人が大勢いる環境のほうがいい。もう一体感を求めるよりは安全で、適度な音量で、自由に聴ける環境のほうが望ましいので、ライブに行くことはもうないかもしれない。ただ、中継してくれるのであれば参加はすると思う。

花譜のこれまでのオリジナル曲はカンザキイオリ作詞作曲であり、それが一段落することは、かなり大きな出来事だと思う。心の準備ができていたこともあるだろうけど、花譜が動揺していなかったのは、歌ってみたとか組曲で、他の作詞作曲に慣れていた、と言うか、他の人の歌でも歌える自信があったのかもしれないし、これからは、外部のアーティストとしてカンザキイオリが作った歌を歌うことができると思っていたからかもしれない。きっと、これからも歌い続けてくれるのだろう、と期待できる一場面だった。

森博嗣 君が見たのは誰の夢?

 

森博嗣さんの刊行ペースもだいぶ落ちてきて、予定表の更新も遅れてきているので、サービス期間も終わりが近く、本当に引退(本人的には引退しているつもりだと思うけど)してしまうのだなあ、と感じる。残念だけど引退宣言をしてからも書いてくれているだけでもありがたい。お金の使い方を本にしているくらいだし、本当にお金には困っていないだろうから、あとは工作を楽しむばかりなのだろう。森博嗣さんも、いずれは設計図を描くだけになるのか、設計図だけであれば描く必要がないとやめてしまうのかはわからないけど、それまで楽しめるのは間違いない。僕は工作がしたいわけではないけれど、生きかたとして参考にしたい。何か手を動かすような趣味があったほうがよかったかな、と思いつつ、特別なことがしたいわけではないので、老後は少し紙飛行機を作ってみたり、本を読んだりしつつ過ごせたらいいなとおもう。お金はためているつもりだけど、今を犠牲にしているわけではなく、あまりお金がかからない趣味に移りつつあるので、自然にためているところ。良くも悪くも年功序列の会社で、少しずつでも給料は増えているので、使う量が変わらないとたまる額は増えてきている。ただし、最近に物価上昇はかなりのものなので、これからは貯められる額は減っていくかもしれない。早期リタイヤできるほどのたくわえは今のところ見込めないけど、副業をする体力もないので、あまり無理をせず、適度な年齢で辞めたいものだ。

このシリーズは、いつも未来について考えるきっかけとなる内容で、今回も楽しく読むことができた。今は、だいぶ仮想現実を体感するデバイスが安価かつ高度になってきているようで、VRゴーグルではないけど、ゴーグルのようなものをいくつか買ってみた。安物しか買っていないこともあるけれど、あまり自分には合っていないように感じる。もっと素直に没入できる人が向いているのだろう。無意識にあら捜しをしていて、何かに気が付くと、そこが気になってしまう。人が完全にデジタルに移行するには、あと200年では足らないだろうけど、いずれ至る道であることは間違いない。画面のドットはこれ以上細かくなっても人の目では違いが判らないレベルまで来たものの、聴覚も完全に自然の音を録音することはできないし、触覚、味覚、嗅覚に至ってはデジタルでの記録、再現すら難しい状況だ。意外と味覚は早いうちに解決されるのではないかと思っている。味覚は視覚の影響を受けやすいからだ。ただし、まったくリアルで経験したことがない人にどうやって伝えるかはわからない。食べたことのない味を伝えられるだろうか。音でいうmp3のように、圧縮した情報伝達になってしまうと、平坦な味しか感じられなくなるだろうか。それとも、その範囲内で様々な組み合わせを楽しむようになるだろうか。

もう一点、人がデジタルの世界に移行するとしても、ハード面をどのように管理するかが気になるところ。人工知能が発達して、ハードを管理できるようになるだろうか。まあ、一気に電源を落としてしまえばデジタル世界の人間は何が起こったかもわからずに消去されるだろうけど。もしかしたら、一部バックアップがとってあって、それをもとに新たによみがえったあとの世界もあるかもしれない。

 

デジタルの世界に移ったら、考える速度自体に差はなくなるのだろうか。個人を示すアルゴリズムだけで、人の能力に明確な差が生まれるのか。リアルからデジタルに移る場合は、それまでの経験が反映されてもおかしくはない。本当の意味でのデジタルネイティブが生まれたとき、他社との能力差は生まれるのだろうか。個人を決めるアルゴリズムは他社に移せないのか、移せるとしたら個人が望むときにのみ移せるのか、外から強制的に移せるのか、など色々と気になるところはある。デジタルの攻防戦が描かれていることから想像できるように、個人がデジタルの世界に移っても外部からの攻撃に抵抗する術はあるのだろう。具体的にどのようなものかは想像できないけど。デジタルの世界で人の姿を取っているとして、それがGUIなら、データの置かれているところは別にあるはずだ。アバター本人だけど)として動いている間にそのデータのある所を攻撃されたとして、どうやって感知してどうやって妨げるのか、想像できない。きっと、その世界での体の動かし方があって、そこにいる人にはわかるのだろう。僕が想像できないような世界を描いてくれるのか、一部だけ見せて終わってしまうのかはわからないけど、今後の作品がとても楽しみだ。 

 

ホモサピ 地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記

 

生き物系YouTuberを見ていると、いろんな人が横のつながりがあって、共演していることも多い。誰が最初だったかは忘れてしまったけど、お勧めに出てくる人を見ていたら、どんどん見る人が増えてしまった。彼らの動画は長くても20分ぐらいのものが多く、少し一休み、というときに楽しめてとてもいい。そんな中の一人であるホモサピさんの著作。

若いのにすごく生き物に詳しいな、と思っていたけれど、生い立ちを見てみると、確かに詳しくなるな、と納得。生き物系YouTuberの皆さんこんな感じなのだろうか。周りに、あまり生き物に執着する人がいなかったので、学校ではどんな雰囲気の子供だったのかは今一つ想像できていないとおもう。少しワイルドな子で、ザリガニを生で食べた、と言っていた同級生がいたけど、特に寄生虫に感染(?)したという話も聞かなかったので、そもそも嘘だったか運よく感染しなかったかのどちらかだろう。まあ、嘘の多い子だったので嘘だったのかもしれない。

そういう子が周りにいた経験があると(やや虚言癖があるとさらに)、本当に食べているのだろうか、との疑問を持つ人がいてもおかしくはない。ただ、虫を食べる人は結構たくさんいるし、あえて嘘をつき続けるほどのメリットもないのではないかと思うので、一応信用しながら見ている。

とにかく固有名詞が覚えられないので、生き物博士になるのは無理だったような気がするけど、若いころにYouTubeがあって、自分もまねできそうなら生き物系YouTuberを目指していたかも、と思うくらいには面白く見ている。実際は、なんだかんだで保守的なところがあるし、運がいいのか悪いのか、学校の勉強はあまり苦労をしなかったので、普通に進学していたと思うけど。皮膚が弱いので野外活動も制限されそうだし。と書いて思ったけど、幼いころからワイルドに生活していたら、もしかしたらアレルギー反応は今よりも弱かったかも。まあ、できなかったことを悔やむほどのことではない。生き物系YouTuberは、自分にはできないことをしてくれて、それを動画で追体験できるのはとてもいい。迷惑をかけて稼ぐYouTuberは消えてほしいけれど、まっとうに活動しているYouTuberはもっと稼げるようになってもいいかも。ホモサピさんはどうかわからないけど、結構稼いでいそうな人もそれなりにたくさんいて、生き物好きの子供たちが目指す目標になっているのかもしれない。後追いでは難しいところはあるけれど、もっと多くの生き物系YouTuberを見たいものだ。

動画でもクソクソ言っているので口癖なのだろうけど、聞いていても読んでいてもあまりいい気はしない。若者だし、そういうものかとも思うけど、成長に従って口調は改めてもいいのでは(あの口調のファンも多いだろう、とは思う)。コンテンツには直接関係ないのだけど、左手の薬指に指輪をしているので、既婚者なのか、と思った。毎回野食をしているわけではないと思うけど、痩せているので、普段の食事が気になっていた。奥様がいるということは、その辺の心配はしなくても良いようだ。

投げ銭は今のところしないつもりなので、あまり力にはなれていないけど、クラウドファンディングタガメを守る環境を作りたい、との募集があれば参加するかもしれない。

 古宮九時 Babel 全4巻

Unnamed memoryと同じ舞台で、数百年後の世界。Unnamed memoryまで読んでいるので、おそらくあの人たちが出てくるとは予想ができる。言語に対する考え方が面白い。英語は、聞き取ることは難しいけれど、単語の意味が分かれば結構理解できるので、構成はそれほど難しくないのだろう。YouTubeで字幕を出しながら見ると、単語の意味が分かっても何を言っているのかわからないことがあるので、日本語でも同じことだろうけど、個人の説明の上手下手があるのだろう。

1巻は普通に購入し、読んでいる間に残りの3冊がアンリミテッドで読めるようになったので、1箇月だけ登録して読むことにした。おそらく読み返すことはないし、こちらの方が買うよりも安い。ただ、このエントリを読んだ人が見に行ったときにアンリミテッドで読めるかどうかはわからない。

主人公はたくましい少女。今、異世界に行ってこれほどたくましく生きられる少女が日本にどれくらいいるだろうか。まあ、だからこそ主人公だと言える。異世界に飛ばされてストレスで亡くなる人は、きっと物語にはならない。

後日譚がない点が不満だ、との感想がアマゾンにあったので、「小説家になろう」のサイトで後日譚を少し読みつつある。1冊にするには分量が不足しているのかもしれないけど、要望が多ければ本になるのでは。本で読み始めたので、「小説家になろう」の方は見ていなかったのだけど、ほとんど本と同じ内容があるのだろうか。本になると公開しているほうは更新を止めてしまったり、過去の公開分を読めなくしてしまうことが多い印象だった。まあ、一人で全部できてしまう人もいるけれど、ある程度編集の目が入ったほうが文章としては読みやすくなるのではないかと思う。面白さが失われる、という人もいるかもしれないけど、そもそも読みづらかったら面白さも伝わりにくいと思うので、編集が入ることには賛成派だ。web版を読む場合、おそらく縦書きpdfに出力することになるのだろうけど、長音記号の表示が変なので少し気になる。楽しむ支障になるわけではないけれど、本で出ているのならそちらを読むかもしれない(値段にもよるけれど)。

日本人は長期間英語を学んできても身についていない、といわれがちだけど、例えば英語のニュースであればなんとなく意味が理解できても、ロシア語のニュースはほとんど理解できないことを考えると、多少なりとも身についているのではないかと思う。YouTubeでも英語字幕を付ければなんとなく意味は分かる(日本語字幕のほうが意味が分からないこともあるので、ものによっては英語字幕でみる)

 

このBabelという作品は、全4巻の中にいろいろなことを上手にまとめている作品だ。この感想を書いている時点で古宮九時さんの作品はUnnamed memoryBabelしか読んでいないけど、非常に満足している。登場人物がクロスオーバーする作品はあたりもあれば外れもありそうだけど(外れは忘れてしまったのかとっさに思い出せない)、いい感じでできていると思う。ほかの作品についても、読んでみたいと感じさせる作家だった。

 

 

 古宮九時 Unnamed memory-after The end- 1巻

あらすじは販売サイトでも参照してもらったら、とおもう。前作とかBabelを読んでいたほうが面白い。

身体的なピークは比較的若いうちにあって、そこからの落ち方は結構激しく、自覚できることも多い。一方で、思考など、脳の活動については、もちろん同時期に瞬発力のピークが来ているのだろうけど、考えるということは過去の知識を使うことも多く、総量として減ることは自覚しづらいのではないだろうか。高齢になっても記憶力や思考力が衰えない人は、常に考えているからなのだろうか。かといって思考力が衰える人があまり物事を考えない人とも限らないのだろうけど、どこで違いが出てくるのかは興味がある。と書いては見たものの、高齢になるとあまり考えなくても、これまでの経験で物事を進められることが多い気はする。新しい仕事や、新しい場所での生活はストレスになるとか時々ニュースで見るけれど、高齢になってからの付加は、身体的な不可と同じように、受け止めることが難しくなっているのだろう。若者にとっては適度なストレスになるような負荷でも、高齢者には体調を悪くするような負荷ということか。

どれだけ長い間一緒にいたとしてもそれがストレスではなく、楽しく感じられる相手がいるのは素晴らしいことなのだと思う。正直に書くと、長く一緒にいてもストレスにならない人が想像できないのだけど、世の中にはいつまでたっても仲がいい人たちはたくさんいるし、きっとそういう関係性もあるのだろう。

一人でいることに慣れてしまうと、他人と生活することにかなり抵抗感がある。そういう意味では、ティナーシャは柔軟な思考を持っているのだなと感じる。一人がうらやましい、という家族持ちも時々いるけれど、子供が巣立っていったらさみしいようだ。どっちなの?と思うけど、実際には一人だと寂しいタイプの人なのだろう。今は仕事をしているので、誰との話さないことはないけど、休日はだれとも話さない。これが続くと寂しくなるのだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大が起きてから、比較的長い休みも一人で過ごす機会が何度かあった。それでも、まだ特にさみしいと感じたことはない。一人に向いているのか、いつでも話す相手がいると考えて高をくくっているのか。

一人で過ごすようになってから、一人で死ぬときのことをよく考える。部屋で死ぬ場合は、きっと、死体の処理があるから死ぬなら死ぬと連絡しなければ、と考えながら死ぬのだろう。病院では、ある程度死ぬまでの猶予がありそうなので、死後の処理については済ませていたい。

 

 

 古宮九時 Unnamed memory 6巻

面白かった。万が一未読の人がここの読んだとき、面白さを損なわないように感想を書くのが難しい作品だ。内容にはほとんど触れない感想となった。とはいえ、基本的には内容そのものの感想を書くのではなく、読んで気が付いたこととか思ったことを書くようにしているので、方針としては問題はない。ただ、直接ではなくても、感想を書くと読んだ人が全体像に気が付いてしまいそうだったので書かなかったこともある。咀嚼しきれていない部分があるような気がするけど、それを差し引いても楽しく読めた。アニメ化しても面白いだろうけど、掛け合いが面白い作品なので、ドラマCDでも面白いかもしれない。人気もあるようだし、楽しみにしておこう。