ジョン アーヴィング また会う日まで

また会う日まで 上

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また会う日まで 下

また会う日まで 下

 長い長い物語でした。もともと翻訳された小説は苦手なのですが、これだけ長いと休みの間に読めるかどうか、と思っていましたが最後は意外とすらすらと読めました。
 あらすじなどは他のサイトなどにたくさん書いてあるので省略しますが、アーヴィングの自伝的小説です。上巻は主人公のジャックが母親と旅をする場面から描かれます。ジャックはとても記憶力のいい子供とされており、ジャックの記憶に沿って物語りは進みます。でも、この記憶の歯母親のアリスの主観が入っており、その記憶はあっているのか間違っているのかわからない。ジャックはその見目麗しさから年上の女性にかわいがられるのですが、それに最後までとらわれてしまう。幼いジャックに「おー」という口癖があるのですが、それがかわいらしい。この「おー」というのは結構キーワードとなります。下巻では一転し、自分の記憶があまり性格ではなかったことを知ったジャックは改めて旅に出ます。ここからの記憶の齟齬と、その理由が面白い。
 自伝的な小説とあり、著者近影を見ても作者が格好いいことはわかりますが、平凡な人生を歩んでいる(それすらまっとうできていないかも)の身としては大変だなあ、と思います。ジャックは年上が好みで、ある程度成長してからも年上好きなのですが、綺麗なまま年をとっている人も多いのですね。身近にいる年配の方でそこまで綺麗な方を見かけないのでTVなどに出ている人だけかと思っていたのですが、実はたくさんいるのかもしれません。
 これは家族の物語なのですが、ジャックの父親のウィリアムは精神を病んでしまうものの、すごい人です。格好いい。父親との再会で、いろんなことを許す父親の大きさにしびれました。
 ちょっと内容に触れてしまいましたが、面白さを損なうものではないと思います。翻訳物が苦手ではない人は読んでみたらよいのではないでしょうか。苦手でも楽しめましたし。刺青の図案にもっと詳しかったらもっと楽しめたかも。あと、いくら時代とはいえ誰とも彼ともセックスしすぎでは。周りにいないだけで今も昔も同じなのかな、とか考え込みそうです。病気をもらったり、誰と寝たとか簡単に言ったり、ちょっとその辺のセンスにはついていけない部分もありました。