田中芳樹 霧の訪問者

霧の訪問者 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社ノベルス)

霧の訪問者 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社ノベルス)

ほとんど水戸黄門のレベルになってきたような気もします。わがままでかつ権力と能力を持った主人公の草分けとも言える薬師寺涼子です。その自由さは毎回程度が異なっているのですが、はじめから読んでいる人とこれだけ読んだ人では印象が違うのだろうな、と思います。もちろん、これをはじめて読んでも楽しめるように十分考慮されているとは思いますが、やはりシリーズ全体を通して見たほうが楽しめるタイプの作品ではないでしょうか。
直接内容には関係ありませんが、本を出版順に読もうとするのは読書好きな人に多い傾向だそうです。巻数が1、2となっているのに2巻から読み始める人もいるのですね。これはちょっとした驚きでした。順番に読んだほうが話の流れを理解しやすいと思うのですが、基本的な能力が少ないからなのかな、とほんの少ししょんぼりです。まあ、ほとんど冗談ですが。つまり、グイン・サーガとか53巻ぐらいをいきなり読む人もいるんですね。一冊も読んだことがないのであまりコメントすることはできませんが、明らかに続きものの途中を読むというのはどういう感覚なのか興味があります。たまたま連続ドラマの途中の一話を見た感じでしょうか。そういわれると、一話だけ見て面白そうだから全部見たという話を聞いたことがありますが、それだとなんとなく理解できます。ただ、3、10話(数字は適当)を見たという人がいたらやはり理解し辛いですね。
それはともかく、泉田さんがこの先どういったポジションになるかですね。読者のほとんどが想像(期待)している状況になるのか。銀河英雄伝説であっさりとあの人にあんな仕打ちをする人ですから、といいたいところですがこの作品の場合そんなことにはならないでしょう(あのとかそのが多い文だ)。当初はあまりメジャではない怪物が登場して涼子さんが博識を披露しつつ退治する物語でしたが、今回は特別変な怪物も出てきませんでした。マイナな怪物を知るのはとても楽しいので残念です。今後はさらにわけのわからない怪物に登場していただきたいものです。
(おまけ)田中芳樹さんのオタクイメージが相当昔なのはわざとでしょうか。