竹田青嗣 中学生からの哲学「超」入門

これは面白かった。漠然と受け止めていたことを体系的に示しています。ぜんぜん哲学になじみがないので、このくらいがちょうど良いといえばちょうど良い。哲学が難解になっていく理由とか、哲学とは何を追及する学問なのかが分かりやすく示されていました。
失恋で世界が崩壊する、とありましたが、ふうん、と思いました。周りから見たらたいしたことがなくても、自分にとっては世界が崩壊するに等しいと。失恋して世界が壊れ、それを再構成できたとして、そのときの世界に他の誰かはいるのかしら、とか考えつつ。深みが出てくるとありましたが、その「深み」もあったほうがいいのかなあなんて思います。世界の深さを知らずに、表面だけをみて、それでも楽しく過ごせる人はいるだろうし、深みを得ることが必ずしも良いとは限らないかも。でも、一人で生きていく身としてはそういった深さを知る、深いところまでたどり着くために何か足掻いていた方が行きやすいのかも知れません。自分の人生が薄っぺらいことは知っていても、それでも何かをしなければただ生きていくだけの人生は長すぎる。
孤独は寂しいことでは有るけれど、大勢の中で感じる孤独感よりはまだ自分としては楽な気がしています。連帯感などが得られたらいいのでしょうけど。今から哲学を学ぶには、突き詰めるには遅すぎますが、ただ知る、理解しようとするだけならなんでも遅すぎることはないと思います。またまとまった時間が取れるときに他の入門書(それでも入門書)を読んでみようかな、と思いました。新書としては最高レベルでした。