辻村深月 太陽の坐る場所

太陽の坐る場所

太陽の坐る場所

著者の紹介を見ると1980年生まれということでことし29歳になるようです。つまり、自分と同じ年齢の人たちが登場する小説でした。毎年同窓会をする仲の良いクラスがあって、その中には有名になった人もいた。自分たちの興味もあり、招待するもののやってこない彼女。その理由を想像する同級生たち。過去を振り返る。思い当たるエピソード。それぞれの視点からそれぞれの思惑を書いてあった作品でした。
このクラスというか学年にはいろんなことがありますね。思い返しても全く何も思い出せないし、高校生のころにあったエピソードなんて全く記憶に残っていない。なので、この辺のどろどろした関係にはあまり真実味を感じないと言うか、舞台を見ているような気分になってしまうと言うか。
物語の仕掛けとしては、始めにちょっと引っかかる部分があったのですが、基本的にはだまされたいひとなのでその点については深く考えないようにして、登場人物の心理だけを追うように読み進めました。とはいっても一時になってしまえば若干穿ちながら読んでいたと思うし、技術的な面では予想通りでした。
最後まで読んで、ちょっと不完全燃焼気味でしたが、雰囲気は好きな作家なので特に不満はありません。なんとなく恩田陸さんのような作家になっていくのかな、と思いました。