土橋真二郎 ツァラトゥストラへの階段

こういったゲームを考えたりその中でできることを考えるのは一見簡単に思えてかなり難しい。シンプルなルールで盛り上がることができればそれが一番ですが、それだと物語としてはいまひとつ盛り上がりに欠ける。あいまいすぎる要素を入れるとどうしてもそこが穴であることがわかってしまう。解釈の仕方はいろいろとあっても、実際には単一のルール、と言う設定がいいかもしれません。
真剣に考えたことはありませんが、こういうのを考えるのも楽しいかもしれません。もしかしたらちょっと向いているかも、とも思います。でも仕事にはできないし、長続きしないでしょう。
今回も唐突にゲームに参加させられてしまう登場人物たちです。通貨の単位がオーレだったり、前作の設定を受け継いでいる部分もあるのでもしかしたらつながるかもしれません。嘘です。全く思っていません。作者の好みなだけではないでしょうか。ゲームに人生をつぎ込むのか、人生はゲームなのか。大金を前にして動じない自信はありませんが、お金に目がくらむほど困ってもいないし、欲しいものもあまりないので「パルス」はないのでしょう。
ゲームと現実の境目がわからなくなってきている作品ですが、これってお話としてみている分にはいいのですが本当にありそうで怖い。物好きなお金持ちがゲームを開催していると言う設定は結構よくある話で「インシテミル」とか「アカギ」だったか「金と銀」だったか忘れましたがあったと思います。そこが怖いのではなくて、ゲームと現金がリンクしていること、ゲームに夢中になって自分自身を担保にすることも戦略の一端に組み込んでしまうことが恐ろしい。絶対にしないとは言い切れない。言い切れる人もいるのかもしれませんがそういう人はきっとこんなことを気にしない。
これからどんどん人間の欲望がエスカレートしていくのか、どこまで行き着くのか。それ以前にそこまでこの物語がいけるのかが楽しみです。