香月紗江子 カラブルワールド

カラブルワールド ~緑の闇~ (ガガガ文庫)

カラブルワールド ~緑の闇~ (ガガガ文庫)

 カラフルワールド(colorful world)かと思わせてカラブルワールド(colorable world)。岸田メルのイラストに釣られて購入した作品ですが、なぜか中盤ぐらいまで名前とイメージが一致しなくてなかなか読みづらい作品でした。物語はパラレルワールドといってもいいでしょう、現在の世界と少しずれている世界で、吸血鬼や狼男など幻想小説に出てくるキャラクタがそれぞれの「因子」を持つためにその姿になってしまうという世界。その因子は今でいう遺伝子のようなものらしいのですが、血液感染するみたいなので必ずしもそうではないのかもしれません。
 好きになった女の子に振られ続ける少年、ライティスは物語の終盤である変化を迎えるし、幼馴染の少女ミッケラは魔法使い。実年齢は70歳だというコールランド先生は見た目は子供。こうやって書くとちょっとずついろんな要素を取り込んでいるように見えます。まだそれらを消化して面白い物語にはなっていませんが、これからを期待できる作風でした。さすが期待賞。ただし、次が面白くなかったらそこでやめる予定。あまりガガガ文庫の青い背表紙が好きではないので、他の本より若干ハードルが高くなってしまいます。さて、どうなるか楽しみです。