森博嗣 ゾラ・一撃・さようなら

ゾラ・一撃・さようなら

ゾラ・一撃・さようなら

新シリーズなのか、これで終わりなのか良くわからない作品でしたが、講談社ノベルスで出版されていてもおかしくない作品です。ただ、あちらはギリシャ文字のシリーズとイナイ×イナイのシリーズが同時進行しているのでこれ以上新しいものを持ってこれなかったのかもしれません。
探偵をしている中年にさしかかろうとする青年、頸木が主人公。主人公がそれほど若くないため、友人関係も若干年齢層が高め。そのためか、今回登場した友人知人にもいろんな過去がありそうです。どこの大学を卒業したとか、どこどこに行ったことがあるとか。
お気に入りのキャラクタは赤座都鹿。このキャラクタを一作で終わらせてしまうのは少々もったいないと思えるほどです。頚木が意外ともてることに驚きです。確かに会話をすれば面白いと思いますが、自分から積極的に接触していないのにこのモテっぷりはすごい。一見弱弱しい外見のように他のキャラクタが言っていますが、意外と頑丈だったりします。そういえば森作品で異常に腕力が強い主人公(主要キャラクタ)はあまりいない気がします。練無ぐらいしか思いつきません。暴力で片をつけるのが嫌いなのでしょう。そこは好感が持てるところです。
著者がただ単に気に入っているだけとは思えない道具である「天使の演習」、またの名をエンジェルマヌーバ。作家として活動する期間を決めている森さんですが、この天使の演習がいろんなものを繋ぐ鍵となるのでしょうか。とりあえずいくつかの作品をまたいでいるので、それらにはつながりがあってもおかしくはありません。続編が出るのかでないのか。しばらく様子見です。