小林めぐみ ねこたま

こばめぐのデビュー作。このころから雰囲気はほとんど変わっていません。大学に入ってからも、知識を身につけた分技術的な表現が増えたり、説得力が増したりすることはありましたが、全体としてはあまり変わっていません。ここまで書いて思ったのですが、途中で作風が変わる人のほうが少ないのかもしれません。分野が変わったかな、と思うのはまず佐藤賢一。西洋の歴史物からマフィアものなどまで書くようになりましたが、文体とか、文章から受ける印象はあまり変わっていません。藤本ひとみはコバルトで書いていたころと比べて一般文芸で書くようになってからは少し硬質な印象を受けます。これも、対象年齢によって書き分けているのではないでしょうか。もしくは、コバルトで対象になるような年齢層に対する文章が書けなくなってきているか。逆に全くぶれがない作家ですぐに思いつくのが市川拓司。作風とか文章が変わらないといってもつまらないと言うことではなくて、ひとつのものをいろんな角度から見ている感覚です。好きな人は好きだろうし、特にそうでもない人は飽きてしまうかもしれません。他にもいろいろ思い浮かぶ人はいますが、とりあえずはこのあたりで終わります。
さて、物語ですが、これを当時高校生だった彼女が書いたということに改めて感心します。記憶ではもう少しアクアクの出番が多かったような気がしていたのですが、再読してみると意外とあっさり終わってしまいました。飄々としたキャラクタはこのときから健在だったのだと改めて確認できます。
絶版になってしまったのか、新刊書店ではほとんど見かけることはありませんが、中古でならまだまだあると思います。中古でもなくなって、まだ読者の希望があれば再販されると思うので、見かけるたびに購入しているのでした。といってもまだ3冊目ですが。六分儀シリーズも読みたくなってきました。ジゼル(話す猫)がかわいかったはず。