海堂尊 ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

これまでと同じ病院が舞台ですが、前作のナイチンゲール〜と同時期に起きている事件です。前作を読んでいないと良くわからないだろうなあ、と思える部分があって少し残念でした。姫宮とか、このシリーズだけを読んでいる人には物足りない登場時間だったのではないでしょうか。これまでも少し感じていましたが、作品を順番どおりに読んでいることを前提に書いているようなところがある作家さんのように感じます。まあ、それらは瑕疵であり、物語を読ませる力は相変わらずです。
白鳥が活躍できないほどの論理展開を見せる彼は本当に凄いなあ、と思える人ですが、どちらかと言うと彼の下で働いている青年に共感してしまいます。とは言ってもその彼もかなりやり手なので「超人ではない」点に共感しているだけかもしれません。
今回もAiが登場しました。専門分野らしいですし、その啓蒙も一部目的に入っているのかもしれませんが、ごく自然に話に織り込むことに感心しました。あと、田口の周囲からの評価が相当高いことに驚きです。同期にも有能な人が多いし、もしかしたらかなり優秀なのかもしれません。これから周囲がさらにイメージを固めてしまって、それにあわせるように大物(食えない人物)になっていくのかも。どこまでこのシリーズは続くのでしょうか。まだまだ楽しめそうです。今後にさらに期待。