森橋ビンゴ 三月、七日

三月、七日。 (ファミ通文庫)

三月、七日。 (ファミ通文庫)

先日psycheN さんがコメント欄でお勧めしてくださった作品です。高校生の不安と、恋について描かれた物語です。登場人物が少ないかな、と読みながら少しだけ思ったのですが、実際の高校生もそれほど交友関係が広いわけでもないし、あまり違和感はありません。
いつから「相手がもしかしたら自分のことを嫌っているのかもしれない」という不安を感じなくなったのかというと、今でも感じないわけではありません。ある程度大人になってからは利害関係を含めた思考になってしまい、嫌われていてもこんなメリットがあるから、とか考えてしまいます。もちろん、気の合う友人とはそんなことを考えませんが、ふとした拍子に「もしかして今の言葉が気に入らなかったかも」と思ってしまったり、むっとしても胸のうちに収めたりしてしまいます。
高校生ぐらいまではそういった利害関係(別の力関係はあるかもしれませんが)よりも感情でのつながりが大きい。だからこそ大人から見れば些細なことで関係が崩れてしまうこともあるし、それに対する不安は大きい。
そういった不安だけではなく、初めて「どきどき」を感じたときの描写もあります。
不満だったのは、本当に主人公の二人のみが中心となっていて、周囲の描写があまり無かったことでしょうか。とは言えこの長さで物語を完結させるには設定が多少突飛なことや、上記の不満もしかたがないことです。今度はもう少し長めの物語を読んでみたいと思いました。