海猫沢めろん 零式

零式 (ハヤカワ文庫JA)

零式 (ハヤカワ文庫JA)

閉塞された環境下で、そこを抜け出そうとする若者の物語でした。
上手く言葉が出てこないのですが、無駄に長いように思える閉塞感の描写は、読了した後ではそれがあったからこそ作品が完成したのだな、と思えるものでした。あったかもしれない世界と言うには少々現在とはずれが大きすぎるし、荒唐無稽な設定や能力を持つ人が出てくるのでもしかしたら受け入れがたい人もいるかもしれません。
特攻の拓で天羽の単車には幻の6速(5速だったかもしれません)があったのですが、それに似た話があって、特攻の拓をリスペクトしていて、新しい解釈を持ってきたわけではないのでしょうが、これは面白い。バイクの設定で少しあれ、と思う部分がありましたがそれほど詳しくないので非現実な設定なのか、一応理にかなった設定なのかがわからないのが少し残念
ハヤカワ文庫なので表紙以外にイラストはなかったのですが、できればいろいろとイラスト化して欲しかったところです。あの少女とかあの老人とか、バイクとか。
疑問に思っていたのは、星状だと奇数にしかならないのでは、と思っていた点です。一応簡単に調べたところ、実際にはそれを複数並べることで偶数にもなるらしい。その点については納得できたものの、配列のイメージが文章からはつかみにくかったのでやはりイラストが欲しいところでした(想像力のなさを棚に上げています)。