厚木準 僕たちのパラドクス

僕たちのパラドクス―Acacia2279 (富士見ミステリー文庫)
 タイムパラドクスを主題とした作品です。これまでに無かったかな、と思えるのは未来の可能性が共存するあたりでしょうか。未来は過去によってすでに確定されているものと思っているので多次元宇宙のほうがまだしっくりときます。この物語では基本的に未来へと至る道はひとつで、過去に干渉することでその「可能性」が変化するとあります。それはありえそうでありえない設定で、やはりちょっと無理があるかなと思える作品でした。キャラクタも特に魅力的ではなく、主人公の二人も周囲の人間がいないかのごとく振舞っており、描写する枚数が足りなかったのか、複雑になる要素を避けたのかはわかりませんが、あまり面白くはありませんでした。あとがきを見ると続編をすでに書き始めていそうな感じですが、多分購入はしないと思います。