五代ゆう パラケルススの娘 4巻

おたかさんこと遼太郎の祖母、多華女さんの若かりし頃を描いた外伝的位置づけの作品です。主人公はもちろんクリスティーナ・モンフォーコンですが、多華女さんや睦月も主役であると言えます。前回黄婦人の従者として登場した睦月(霧月)が、なぜ敵に回ってしまったのかが描かれていますが、睦月がクールすぎると言うか無反応過ぎて何を考えているのかがわかりにくく、なぜその結果に至ったのかが腑に落ちづらい(変な日本語?)。
しかし多華女さんは強い女性です。親族の中で比較的力の強い青年と夫婦になることが決まっているのですが、心は動かされないと断言します。この強さは悲しさを伴っており、素直に称えることができません。未来視の力を持つ母親が残した言葉はあのことを示していますが、最後にどう収束するかはわかりません。
クリスティーナが持つ聖なる血にどのような能力が秘められているのか、なぜクリスティーナがその血脈を受け継いでいるのかはまだわかりません。しかし、これまでの描写からある程度は想像がつきます。想像通りでも特にかまわないのですが、想像を覆されるともっと嬉しい。基本は素直な読者なのでだまされるところではだまされます。さて、今後どのように展開するかとても楽しみです。