志村貴子 青い花

青い花 1巻 (F×COMICS)

青い花 1巻 (F×COMICS)

 お嬢様学校に進学した奥平あきらは通学途中で痴漢に遭い涙ぐむ少女と出会う。その少女は幼馴染の万城目ふみだった。ふみは周囲に流されやすい性格で、文芸部の部室前で出会った先輩に誘われるまま文芸部に入ってしまう。あきらは人懐っこい性格で、数年ぶりに遭ったにもかかわらずふみは年月を超えた親しみを感じている。同性に惹かれるふみと、まだ恋に興味を覚えないあきらの、淡く静かな物語。
 志村貴子さんの作品は醸し出される空気がとても好きです。表紙は水彩画で描かれており、これもまた思春期の爽やかさというか、儚さが描かれていると思います。
 どちらかと言うとふみの周りにいる元気な少女たちが主流なのだろうな、と思いつつ、本当はもっとどろどろした世界もあるのでしょうが、ほのぼのとした登場人物は好感が持てます。杉本先輩はバスケ部の主将らしいのですが、あまり忙しくはなさそう。何かの解決を求める物語ではないでしょうし、答えは無いのでしょう。
 純粋なところが似ているのか、おくてなところが似ているのか、ふみがたまに「エマ」に見えるときがありました。それほど似ている画風ではないはずなのに、と思うのですが一度そう思ってしまうと違うようには見えなくなってしまいました。
 志村貴子さんは最近結構シリーズを抱えているような気もしますが、急がなくてもかまわないのできちんと話を終えて欲しいと思います。