渋谷ではたらく社長の告白
サイバーエージェントの藤田晋社長が会社を立ち上げるまでの話を描いた作品です。まあ、これといって他の起業物語と変わらないような印象です。会社を立ち上げるためには、やはりそれなりの素質というか、性質があるのだろうと思いました。
堀江社長と同様に技術者出身の人かと思っていましたが、文系の方のようです。作中、堀江さんが出てきました。彼はやはり技術屋なのだな、と感じます。思ったとおりのシステムを自分で組むことができるだから、楽しいといえば楽しいでしょう。
IT長者がどのような仕事をして、どのようにして収益を得ているのかはとてもわかり難い。これを読んでも、一部は広告などで収益を得ているのだな、とわかったものの、それだけで巨額のお金が動くのかどうかわかりません。やはりそちらの知識が全く無いからだと思います。
日本は嫉妬社会だ、といった彼の先輩は確かな目を持っているのでしょう。今、堀江社長がいろんな人から妬みの反発のようなバッシングを受けています。彼らの仕事に関してなんら知識を持たないし、断罪することはできません。同じ世界で同じように成長してきたからといって、同列に扱っていいものでもないと思います。本を読んだ上の感想としては、藤田晋さんはまっとうな感性の持ち主であるように感じました。ただ、少し違和感を感じるのはなぜなのでしょうか。
今、この本を読むことで、ITバブルについての知識を得られるとは思いませんでしたが、そのときの雰囲気を感じられるのではないかと思い、読みました。当時の急成長する様子は伝わりますし、彼らはその辺で就職した新卒の人よりも何倍も努力してきたのだと思います。直接ではありませんが、努力すれば成功するわけでもなく、成功するためには何らかの嗅覚が必要なのだと書いてあります。自慢ではなく、思い返せばそうだったのだろうと回顧しているように感じました。ベンチャー企業を立ち上げようとする方にとっては、内容よりも姿勢が参考になるかもしれません。