西村しのぶ メディクス

メディックス (IKKI COMICS)

メディックス (IKKI COMICS)

 医学部に入学した大学生の生活を描いた物語。西村しのぶさんの作品は大学生に限らずですが、会話が良いです。結構初対面の人とかには構えてしまうのでああいった自然な会話がそれほど親しくない人ともできる人がなんとなくうらやましい。医学部といえばお金持ちのお坊ちゃんが集まると言うイメージだったかもしれませんが、最近はどうなのでしょうか。この作品が連載されていた頃はバブルが崩壊して、まだその余韻が残っていたと思います。最近はそれほどお金持ちばかりが集まっているのではないかもしれません。
 物語は思いっきりぶつ切りで終わっています。西村しのぶさんの作品は完結しないことが多いのですが、それでも人気があるのは物語の過程を楽しめる作品だからでしょう。ある意味、すべての作品が一話簡潔と言ってもいいのかもしれません。

赤名修/中島かずき 闇鍵師 2巻

 鍵を使って魑魅魍魎を封じ込める闇鍵師が江戸の町で活躍する物語。いろいろと描写があるのは結構なのですが、最終的には鍵を相手にかざすとか押し付けることで終わってしまうので今ひとつ盛り上がりが無いような気もします。占い師の女性は毎回同じ動作をしているのに結果が異なっており、その結果も大半が当たるというものすごいものです。また、今回登場した鍵を作る鍛冶もすごい能力の持ち主だと言えます。そこで、主人公ですがまだあまり彼ならではの能力が見られません。怪物のイラストは想像力を駆使したものですし、赤名修さんの絵は好みなのですが、まだ入り込めるレベルではありません。勇吾の出来が非常に優れているので、作者は違えど原作つきの作品に期待しています。今後の展開に期待でしょうか。

萩原一至 Bastard -暗黒の破壊神-24巻

Bastard!! 24―暗黒の破壊神 (ジャンプコミックス)

Bastard!! 24―暗黒の破壊神 (ジャンプコミックス)

 ずいぶん長い間続いている作品ですが、あまりに長いため当初と絵柄が変わりすぎています。力を込めているのは解るのですが、なんだかアニメーションやゲームのように見えてしまいます。返して言えば、ゲームやアニメは大勢で作っているのにもかかわらず、少人数でこのクオリティの絵を描いていることは凄い、ともいえるでしょう。この巻では初期に登場した人物たちが現れてきています。カイとかシーンとか、シーラとかラーズとかカルとか、懐かしいと言えば懐かしいですね。シーンの服とかエルフの女王の服とか、維持でもコスプレさせないつもりなのか、と思う衣装になっています。もしこれをコスプレで着る人がいたら一度拝見してみたいと思います。まあ、過激さはともかくあの意匠の服を作ることがまず無理でしょうが。
 あと、執筆速度が問題ですが、この作者も巨匠と呼ばれる人になってしまったのか、あまり執筆速度が気にされない人になってしまいました。前頁がイラストのような質の高い絵なので、半分納得、半分不満と言ったところです。まあ、あせらずに続編を待つことにします。

一色登希彦 モーティヴ -リフュールド- Vol 0

 オートバイを楽しむのは必ずしもレースなどを目指す人たちだけではない。そのことを描いた作品。こういう作品を読むとバイクに乗りたくなってしまいます。そう思える作品であることは、実は凄いことなのではないでしょうか。ドゥカティやハーレーなど、調子を維持することが大変な外国産バイクがなぜ人気があるのか。それは、作り手の意思が感じられることや、乗り手が感じられる何かがあるからかもしれません。真っ赤なドゥカティなど、とても格好いいのですが実際に維持するのは大変だろうな、と思います。
 そのほか素人でも参加できるレースの模様など、これもまた興味深い。今現在バイクの乗り手は減少しているのかもしれませんが、こういった楽しめる場があれば遠くからでも参加するから大盛況にもなると思います。サーキットを走るのは、レースの順位はともかくとても楽しいのだろうな、と言うことが伝わってきます。車でもバイクでも、一度くらいはサーキットに参加してみたいな、と思いました。一度参加したら病み付きになったりして。
 今は日本沈没を描いている一色さんですが、そちらよりもモーティヴを優先して欲しいと思います。今、なぜか小松左京さんの日本沈没が特集されていますが、ノストラダムスの大予言がおお外れだった今、新たな不吉な予言を欲しているのでしょうか。災害に備えるのは良いと思うのですが、無駄に不安をあおるのはあまり好きではありません。まあ、今回はその話は措いておきましょう。何かに熱くなっている人がいて、その気持ちが伝わるような作品を書ける人は凄いと思いますし、絵の上手さが必ずしも必要ではないと思います。一色さんはその”熱さ”を伝えられる人ですし、今後も作品を追いたいと思います(日本沈没は読まないつもり)。