[読了]高田大介 図書館の魔女

図書館の魔女(上)

図書館の魔女(上)

図書館の魔女(下)

図書館の魔女(下)

これは傑作だったといってもいいだろう。物語の舞台は、言葉が集う高い塔、図書館と、その周辺の国々。あまり多くを語るべきではない、と思うので具体的な内容についてはふれないでおこう。
これは言葉の強さを示す物語だ。実際には、奇跡のようなバランスで成し遂げられているが、主人公をはじめとする登場人物の魅力に、こんなこともあるかもしれないと思える。そう、何しろ登場人物がとても良い。舞台も良かったけど、それぞれの人物造形がしっかりしているというか、対して紙面を割かれていない人物でも、背景や人物像が想像できる(ような気になれる)。
こんなに面白いとは期待していなかったけど、入手してからの数日間、帰宅するのが楽しみになった。つまらない人生が、少し楽しくなった。こんなことがあるから、たまに、生きているのもいいものだと思ってしまう。何故か、アマゾンでは取り扱っていないようだけど、本が少し割れてしまうからだろうか。イラストがなかったので、個人個人の顔を想像することができても、服装とか、装飾とか細工の細部まで見られるようなイラストがほしい。皇名月の絵で見たい。