小池田マヤ CGH!

CGH! 1―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

CGH! 1―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

CGH! 2―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

CGH! 2―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

CGH! 3―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

CGH! 3―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

CGH! 4―Cactus,go to heaven! (Feelコミックス)

CGH! 4―Cactus,go to heaven! (Feelコミックス)

CGH! (5) (Feelコミックス)

CGH! (5) (Feelコミックス)

 小池田マヤさんの作品は、極端な登場人物が出てくるのでそこに目を取られがちですが語っていることはひどくまっとうで、登場人物はそれを求めて足掻いていることが多く、その部分にひどく惹かれます。細かい部分にも気を使っていることがよくわかる作品で、混血児のことをハーフではなくダブルと呼ぶところとかに好感が持てます。一見ただの皮革フェチの女性が、どのような皮を使うかにものすごく気にしている場面があったり、一見強く見える人でも繊細であることが多い。
 主人公は男装の麗人、というわけではないのですが背が高く、一見男性に見える女性で、幼い頃にこの先長くないと医者に告げられます。いつ死んでしまうかわからない状況で、それでも強く生きている姿が美しい。と、文章にしてしまうと単純すぎて嫌になってしまいますが、全5巻という短い中に描かれた彼女と幼馴染(結婚相手でもある)の生き方が格好良い。
 ひとはいつ死ぬかわからない。でも、それを実感している人は少ないのではないかと思う。毎日を生きるのがしんどいと思っている人でも、自分が明日死ぬと思っている人は(自死を考えている人でなければ)いないのではないでしょうか。毎日、生きていることが奇跡とも言える。それは少し信仰にかかわるところかもしれないけど。この作品を見て、もっと毎日を真剣に生きたほうが楽しいだろうし、充実するのだろうとは思うのですが、なかなかそうは行かない。そして、だからこそフィクションであってもこういった作品に感動することが出来るとも思います。「運命のひと」が好きな作者が好ましい。残念ながら「運命のひと」はいなかったけど、いたら素敵だっただろうなと思うことが出来る。漫画であれ小説であれ、他人の人生に一喜一憂できるのもフィクションの素敵なところだと思う。