椹野道流 亡羊の嘆
- 作者: 椹野道流
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/06
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
この鬼籍通覧シリーズはそれほどミステリ色が強い作品ではないし、ある程度進めば(紙面の残りからとかで)どのように物語が進むかはだいたいわかるのですがそれでも面白いのは登場人物の個性によるものでしょうか。いつまでも若い、と言えば若い登場人物です。まあ、それはいいとしてミチルだけではなく筧や伊月もいいキャラクタをしています。筧はちょっと草食動物感が強すぎる気もしますが、あくの強いキャラクタばかりの中では彼の存在によってほのぼのできるところがあります。
このシリーズでいいのは食事の部分がきちんと意識して描かれているところ。あまり楽しみが無いほうなのですが、楽しさの中で食事が占める割合は結構大きいと思えるのに物語の中ではあまり描かれていないことが多い中、おいしそうに、楽しそうに食事をするようすが描かれているのは良い。死体を扱う物語なので、それに対して「生きている」部分をきちんと描こうとしているのでしょう(気のせいかも知れませんが)。
それほどたくさん刊行されなくてもいいのですが、読んでしまうと次が楽しみになります。次回作を楽しみに待とうと思います。