五代 ゆう パラケルススの娘 7巻

これまで超然としていたクリスティーナ・モンフォーコンですが、拮抗する力を持つ相手が登場してきたためか、少々人間らしい部分が出てきています。レギーナの秘密もそろそろ明かされるかもしれません。
何百年も何千年も生きているような登場人物が出てきていますが、時代は着実に近代化に向かっており、科学の発達で魔法や不可思議な現象が縮小してしまったように、この作品の中でもその波は来ています。今作はお家騒動も主題のひとつですが、実際に強力な力を持つたか女さんの後を継ぐ力の持ち主が出てこないためか、ほかの家から反乱とも言える動きがありました。圧倒的な力がなければ統率できなくなるのも悲しいことかもしれませんが、頂点とその他という構図よりも、末端がたくさん犇いているという構図のほうがいいという人も多いのでしょう。
本編ではフランケンシュタインをモチーフとした配役がありました。この話は悲しい終わり方をしてしまいましたが、何かを反映しているのかもしれないし、何らかの思いがこめられているかもしれません。それは読者それぞれが受け止めればいいし、ここはメモなので思ったことを書くのもありかもしれませんが、今回は控えておきます。
おそらくこの先クリスティーナやジンジャーたちは表舞台から姿を消してしまうのでしょう。寂しいことですが、それを遼太郎たちがどのように受け止めるのか、遼太郎が誰を選ぶのか。どたばたコメディの側面もある話なのである程度あいまいな部分を残して終わるのでしょうが、どのような結末を迎えるのか楽しみにして待ちたいと思います。