海原育人 ドラゴンキラーあります ドラゴンキラーいっぱいあります

ドラゴンキラーあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラーあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラーいっぱいあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラーいっぱいあります (C・NOVELSファンタジア)

竜は無敵の生物であり、その血肉は猛毒である。しかし、一万人にひとりだけ竜の肉を食べても死なずに生き残るものがおり、そのものは人の姿でありながら竜と同じ能力を持つ。唯一竜を屠る力を持つ彼らはドラゴンキラーと呼ばれる。
これまでの竜の概念とはちょっと違った設定が面白い。途中でこの設定に関連した竜の殖え方なども描かれているのですが、そこでちょっと疑問に思ったこともありました。たぶん、それは今後出てくるのではないかと思うので今は書きません。竜がいるのはともかく、他の特殊な生き物が登場しないのか、と言う点に関連していることだけメモとして残しておきます。
主人公のココは軍隊経験のある便利屋ですが、驚くくらいその辺のちんぴらと変わらないキャラクタで、一応二冊読んだものの惹かれる部分は少ない。それよりも情報屋として活動するパーマーや酒場を経営しているラダーマンなどのほうがキャラクタとしては際立っているように思えます。ただ、それはもしかしたら作者の意図するところであり、主人公は極力平凡な(といっても平気で人を殺したりするのですが)存在にしたかったのかもしれません。ココとラダーマンやパーマーとの会話はテンポが良くて面白い。
ここまで読んだ段階ではドラゴンキラーに出来ることとできないことが良くわかりません。それぞれの個体差が大きいのか、元となる竜の能力によるものなのか。たとえば、「ドラゴンキラーあります」の冒頭では音を食べる竜が登場し、主人公のリリィは火を食べる。「ドラゴンキラーいっぱいあります」では痛みを食べる竜が登場する。前者を読んだときは竜が食べるのは物理的なものなのかと思っていましたが、概念も食べられるのか。その場合、量はその概念の持ち主の主観によるものなのか、伝達物質などの量で決まるのか、などがちょっと疑問。
それはともかく、とにかく強いんだ、と解釈して読めば痛快な作品です。あちこちで評判だったので手に取った作品ですが、今のところそこまで絶賛するほどではありませんでした。もちろん面白いのは面白いのですが。テンポ良く読めるのが逆に難点なのか、二冊一気に読んでも一冊読んだくらいの感覚しかありません。連続刊行なので次も早めに読めそうです。タイトルで話が途中から読めてしまうのはもったいないかもしれません。次回作はそこを逆手にとってくれたりしたら面白いのですがどうなるでしょうか。