冲方丁 黒い季節

もともと富士見ファンタジア文庫で刊行されていた冲方丁の受賞作。最近過去の作品を新書やハードカバにして刊行しているみたいですが、できれば文庫にして欲しいところです。読みたいときに読むのでハードカバも購入しますが、できれば文庫の方がいい。もっていて疲れますし。
内容は当時のものから触っていないのか、若さが感じられる文章でした。マルドゥック・スクランブルなどの作品を読んだあとにこの作品を読んでも「原型」だな、としか思えません。デビュー作にすべてが含まれているとは誰が言い出した言葉かわかりませんが、デビュー作が最高傑作という人はあまりいないはず。これも同様で、知識を詰め込んだ10代の作品だなと感じるものの、後発の作品ほどの面白さは感じませんでした。「売れる作家」になったからかこういった形で再刊されましたが、あまり値段に見合う価値は無かったように思えます。これを買うくらいならマルドゥック・ヴェロシティ(購入済みだけど未読)を買ったほうがいいと思います。