野梨原可南 王子に捧げる竜退治

王子に捧げる竜退治 (コバルト文庫)

王子に捧げる竜退治 (コバルト文庫)

 みすぼらしさが決め手となって選ばれる割には綺麗な少女にちょっとなあ、と思わないでもないですが、変なベクトルに前向きな登場人物に相変わらずにやりとさせられてしまいます。終盤では"ちょー"シリーズの登場人物が出て来るあたり、これまでの読者に対するサービスのような作品かもしれません。なんだかんだ言って美形の登場人物がたくさん登場する作家さんだな、との感想。
 王様が変わった性格、という物語はこの作品のほかにもたくさんあるのですが、実際に帝王学を学んできた王はそんなのんきではいられないでしょうし、もっと殺伐としているのではないかと思います。それでも、これらの作品を読んでしまうのは、人は根底では同じ様なものだと信じたいからかもしれません。