桜庭一樹 少女七竈と7人のかわいそうな大人

これまで少女を書かせれば光るものがあった桜庭さんですが、今回は今ひとつでした。ダヴィンチかなにかのインタビューで「ライトノベルではかけない母と子の断絶を描こうとした」とあったのですが、それも中途半端だったよう泣きがします。それと言うのも、主人公である七竈が淡々としすぎで、「気に食わないわ」「あそう」というレベルの争いでしかないように感じました。鉄道模型は何かのモチーフなのか、ただ単に美少女から離れた趣味を設定したのかはわかりませんが今ひとつでした。何より、あまり著者自身が鉄道模型にあまり興味がないことが伝わってくる文章だったのが残念です。
ライトノベルから脱しようとする、もしくはライトノベルの枠から抜けなければならないという思いがあることはわかりますがキャラクタだけがライトノベルのままで、奇妙な印象でした。ライトノベルで性的なことを書けないのかどうかはわかりませんが、試行錯誤の途中なのでしょう。本質的なものに触れようとして本質に触れられなかった、と言う印象でした。