椹野道流 にゃんこ亭のレシピ

 コギのかわいらしさは相変わらずですが、少しずつ(といっても人と比較したら驚異的な速度で)成長しています。なんとなく、コギが大人の姿になるのは母親がいなくなるときではないかと思います。コギの声は脳内ボイスで補われているのですが、その声で台詞を(脳内)再生するともう、かわいくて仕方がないですね。いきなり分別をある程度持った子供ができるのなら欲しいかも、と思ってしまいます。
 今回はパティシエのサトルが以前働いていた職場から誘いを受けます。男女問わずと自己評価しているサトルですが、なんだか嗜好が男性寄りに感じます。読者層が望んでいる場面なのか、作者がただ単に好きなのか。まあ、どちらでもいいのですが、そんなサトルもコギに対しては結構大人としての対応をしています。ゴータと二人で一生懸命子育てしようとする姿はほほえましいですね。近所づきあいも、実際これほど親密だったら鬱陶しいと思うかもしれませんが、ここで登場する人たちはなかなか適切な距離感を持っていると思います。本当に人が少ない田舎だったらもっと踏み込んできたりして鬱陶しいでしょう。ある意味理想の社会を描いているのかもしれません。
 そんな堅苦しいことは考えずに、さくさくと読めばいいと思いますが、この本はなんと言ってもページ数が少ない。え、もう終わり?と思ってしまうくらいあっさりと読み終わってしまいます。本が苦手な人にはちょうどいい分量かもしれません。