安野モヨコ 働きマン 1巻

働きマン(1) (モーニング KC)

働きマン(1) (モーニング KC)




 松方弘子は雑誌編集部、「週間JIDAI」で働く編集者。仕事に全力投球で取り組む彼女は仕事では十分な成果を残しているものの、恋人との関係は疎遠になりがち。仕事仲間には自分と同レベルの情熱を求めるが、彼らには彼らのスタイル、スタンスがあり必ずしも相容れない部分もある。「仕事したなーって思って死にたい」弘子と「仕事しかない人生だった。そんな風に思って死ぬ人生はごめんですね」という新人、田中。「仕事とは何か」を様々な角度から描き、読者にも問いかける作品。
 雑誌を購入することは余りありません。読み捨てていってしまう傾向が感じられてしまうためかも知れませんが、主な理由は興味が無いからです。特にゴシップ(と断定してしまうのは失礼かもしれませんが)雑誌は消費されていく話題が多く、情報の信頼性も無く、さらに誤報であった場合の訂正も無く、購入する価値が感じられません。日常の話題にするには現代ではウェブで十分ではないかと思います。
 専門誌などは同じ話題が重複する場合もありますが、それだけに内容に普遍性があり、信頼が置ける気がします。売れ行きは悪いかもしれませんが、誠実な内容にはついてくる人も多いはず。
 個人的な雑誌感はさておき、作中で松方弘子が所属する雑誌はFridayやPlayboyなどの、いわゆる写真週刊誌がモデルになっています。だから、あまり内容に興味はもてず、何のために頑張っているのかと思わないでもないのですが、仕事に対する姿勢、考え方などは読後考えさせられるものがあります。
 仕事を進める上で何が引っかかるのか。その原因を自ら追究し、妥協しようとせず考え抜こうとする弘子の姿勢には共感がもてます。彼女が目指す「世界一」とは何なのでしょうか。脇役である渚マユが「読者に一生大切にされる本を造りたい」という目標を胸に秘めている一方で、弘子の目指す先は今のところ描かれていません。今後彼女が雑誌記者になった理由、目標などが描かれるのでしょう。
 ダヴィンチのプラチナ本ということで購入した作品です。既読の本である場合が多いことからも感じますが、本の雑誌であるダヴィンチのお勧めする「プラチナ本」は好みの作品である場合が多いですね。人気があるのでしょうか、2巻は見つかりませんでした。面白かったので2巻(以降)も買おうと思います。