GOSICKs ―ゴシックエス・春来たる死神―





桜庭一樹Gosickシリーズ短編集。西欧にある架空の学園に建設されたドールハウス(?)の最上階で多数の本に囲まれて生活するヴィクトリア。その明晰な頭脳はすべての本を読了してもなお飽き足らない。彼女は退屈を紛らわせるため、周囲のかすかな情報から真実を推理する・・・。
イラストが超美麗なGosickシリーズ。内容もさることながらこのイラストに引かれて購入する人も多いのではないでしょうか?短編集のためミステリ部分は若干弱いものがあるけれど、既刊の読者にはヴィクトリアと久城の出会いなど、十分に楽しめると思います。この桜庭一樹という作者はライトノベルで活躍している作家さんですが、[砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない]など、文芸誌に掲載されてもおかしくない作品も手がけています。わがままなヴィクトリアとそれに振り回される久城の様子はとても微笑ましく、大好きなシリーズのひとつです。本編もそうですがミステリ部分は若干強引かなと思わせるところがあります。しかし、それを瑕疵としない作品だと思います。この夏にはミステリフロンティアから出版されるようで(もちろんこのシリーズとは違いますが)、とても楽しみ。ゲームのノベライズ以外はすべてそろえています。今後も楽しみな作家の一人。お勧めです。
以下若干ネタばれ気味です。


 ヴィクトリアの父親が彼女を学園に預けるときに3つ条件を提示していますが、灰色狼と恐れている割にはなんともかわいらしい要求です。このエピソードも後に語られるのかな?
 アヴリルが登場したとき既刊の読者ならすぐに気がつく点がありますね。初見の読者はどういった感想なのでしょうか?