鈴木光司 エッジ

エッジ 上
 リングはとてもおもしろかったのですが、これはちょっと…と思える作品でした。冒頭からとんでもない話になる雰囲気はありましたが、他の読者はどのような印象を持ったのでしょうか。
 物語は、πの値がおかしくなったところから始まります。物理定数が覆ると、みたいな話でもっていくのですがなんだか受け入れがたい。πの値をどんなプログラムで書いているのかはわかりませんが、個人的な感覚としてはπは直径と円周の比なので、値が変わるとはおもいにくい。そこが重要な点なのでしょうが、なんだろう、崩壊するという割にはのんきなもののように感じました。作中に出てくる天才も、うーん、という感じ。科学についてどんな興味をもつように話をするかとかはおもしろかったので読む価値がないとはおもいませんが、物語としては面白くありませんでした。著者が自身満々なのがまた違和感を生んでいるかも。竹内薫さんのアドバイスが、とありましたがふたりして同じ方向に進んでいる気がします。それがいいことか悪いことかは今のところ判断できませんが「俺は間違っていない」感が強すぎて個人的には受け入れにくいです。