[読了]上遠野浩平 ビートのディシプリン Side4

 ブギーポップは笑わないのスピンアウト的作品です。発刊の間隔が長いのでこれまでの話をあまり覚えていませんでした。最近の 上遠野浩平 さんはなんだか迷走しているように感じます。強さのインフレーションが限界に来たことと、風呂敷を広げすぎた感があり、更に強力な敵であることを匂わせて終わるという悪いパターンです。思わせぶりな発言も多く、誰が(どのキャラが)何を把握しているのか解らなくなっています。ブギーポップは最初の5冊ぐらいをまとめて読みましたが、そのころは学園ミステリの様相を示しつつ、戦闘も頭脳戦であり、今後も追い続けようと決めたものでした。世間的な評価は高いようですが、デビュー作を広げるにももはや限界ではないでしょうか。
 抽象的な概念を示して、読者に思考の広がりを選択させる手法は好きなので、このシリーズに拘らず、別の作品で活躍して欲しいと思います。作家としての力量が優れていることは十分に示したと思います。壮大なシリーズ物を始めるにしても、新たに世界観を構築しなおして挑戦して欲しいですね。